キャバレーなどのショーで見て興味を持っていたポールダンスに挑戦しようと、フリーモントにあるポールダンススタジオ、ディヴァイン・ムーブメントのワークショップに参加した。
歩く姿も艶かしく
住宅街の一角にあるスタジオの小さなドアを開けると、中が薄暗いのに驚いた。フロアや窓枠などに置かれたキャンドルが妖艶な光を放っている。 出迎えてくれたのは講師のジェイミー・ ローマーさん。ブロンドのロングヘアに曲線美、さすがポールダンスの先生という容姿。歩く姿からして艶かしく、ポールダンスの哲学と美学が身体からにじみ出ているようだ。
参加者は私を含め9人。友だち同士で参加している人も多いのか、おしゃべりの飛び交う和気あいあいとした雰囲気。最初はヨガ用マットの上に足を組んで座り、ゆっくりと床に手をすべらせながら背筋を伸ばしていく。「周りを気にしないで、自分自身に集中して」というジェイミーさんの声が聞こえる。
手、足の先まで神経を行き届かせる
セクシーの洗礼を受けたあと、いよいよポールに触われる時がきた。ジェイミーさんがポールに足を絡ませてくるっと回るスピンを披露してくれた。これだ、これだ! 今までのヨガのようなけだるい動きと違って、いきなりポールダンスらしくなってきた。みんなから拍手が起こる。生徒が次々とたやすくスピンをこなしていくなか、「こんな滑らかな動き、自分にできるのだろうか」と不安でたまらなくなる。右手、左手と順にポールを握る。お尻を突き出して、左足首をポールにかけて、思い切って勢いをつけながら地面を蹴った。くるり、と気付いたら身体がポールの周りを一周していた。思ったよりも簡単でほっとした。しかし回るには回ったが、鏡もないし自分のフォームがどんなものか想像もできない。「手をもっと高く」、「足を近づけて」、「右足もポールに添えて」、と細かく教えてもらって少しイメージが湧く。スピンを極めるには時間がかかりそうだ。
ポールダンスはどのクラスも満員の大人気
ジェイミーさんは友人に誘われてクラスを訪れたのがきっかけで、2007年からポールダンスを始めたそうだ。ダンスをやっていたのでちょっとは自信があったのだが、「初めてやった時は全く思うように動けなくて、すごく自分に腹が立ったわ」と告白してくれた。それで上手になりたいと意地になって、この道にのめり込んだのだとか。2009年から同スタジオで教え始め、現在は入門から上級まで、一週間に6クラスを教えている。
生徒の年齢層は20代後半から30代半ばが中心。弁護士、会計士、ピザの配達員など職業もいろいろで、国籍、宗教問わず幅広い層の人が通っている。日本人の生徒もいるとか。趣味で通う生徒がほとんどだが、中にはプロのポールダンサーもいるという。ほとんどの人は自前のポールを持っているそうで、真剣さが伺える。ポールを持っていない人はスタジオで提供しているオープンポールが利用できる。
教室はフリーモントにあるシアトルスタジオと、カークランドのイーストサイドスタジオの2カ所。シアトルのクラスは定員10人、カークランドは20人。現在はどのクラスも満員で、今申し込むとウェイティングリスト入りという大人気ぶり。
年に一度、パイクプレイスマーケットにあるキャバレー、カンカン(The Can Can)で「ディヴァイン・ショーケース」と銘打った女性限定の発表会を行う。定員60人ほどの小さな店だが、みんなドレスアップして華やかなダンスを披露する恒例のイベントになっている。
最後にジェイミーさんは、「誰でも思うようにいかないことがあるのだから、決して諦めないで」と初心者へのアドバイスを送ってくれた。
Divine Movement
・シアトルスタジオ
v4444 Woodland Park Ave. N., Seattle
・イーストサイドスタジオ
8914 122nd Ave. NE, Kirkland
☎ 206−384-1440
info@divinemovementdance.com
www.divinemovementdance.com