米国移民法を専門とする琴河・五十畑法律事務所 (K&I Lawyers) の五十畑諭弁護士が、アメリカに滞在するで知っておくべき移民法について解説します。
本コラムで提供される情報は一般的かつ教育的なものであり、個別の解決策や法的アドバイスではありません。また、情報は掲載時点のものです。具体的な状況については、米国移民法の弁護士にご相談ください。
F-1学生のD/S(Duration of Status)制度廃止へ
9月15日(火)より、アメリカのF-1ビザ(学生ビザ)に関する滞在ルールが大きく変わります。新しいルールについてお話しする前に、まずはビザとステータスの違いを簡単にご説明します。
ビザとステータスの違い
ビザ(査証)とは、外国人がアメリカに入国するために、渡航前に米国大使館または領事館で申請し、承認されるとパスポートに貼付される渡航許可です。ビザを取得すると、アメリカの入国地で入国審査を受ける資格が与えられますが、ビザを持っているというだけで入国が保証されるわけではありません。最終的な入国の可否は、入国審査官が判断します。
一方、ステータスとは、アメリカへの入国を許可された外国人に与えられる滞在資格のことです。例えば、外国人学生がアメリカの大学に通う場合、入国する際にF-1ビザが必要ですが、入国が許可された後はF-1ステータスとなり、アメリカ国内で認められた活動を行うことができます。
ビザは入国時に必要なものです。そのため、入国後にビザの有効期限が切れても、ステータスが有効で許可された滞在期限内である限り、アメリカに滞在して認められた活動を継続できます。反対に、許可された滞在期限が終了すると、ビザの有効期限が残っていてもアメリカには滞在できません。このように、ビザとステータスは移民法上、異なる概念です。
ステータスのカテゴリーによっては滞在期限があらかじめ決められているものがありますが、現在、F-1ステータスでは滞在期限が特定されておらず、ステータスを適切に維持している限り滞在が認められるD/S(Duration of Status)という制度によって管理されています。F-1ステータスの要件を満たし、有効なステータスを維持している限り、アメリカに滞在できるという制度です。つまり、F-1ステータスの場合、学校に在籍して学業に専念している限り、あらかじめ特定の滞在期限を定めずにアメリカに滞在できるという意味です。
D/S制度の廃止、9月15日から
しかし、9月15日(火)よりD/S制度が廃止されることになりました。F-1ビザ保持者は、在籍する修学プログラムに必要な期間に沿って滞在が許可され、その期間は最長4年となります。さらに、英語研修プログラムに参加する留学生については、滞在できる期間が通算24カ月に制限されます。
修学期間延長や出国準備期間、
プログラム変更や転校の厳格化
修学プログラムの期間延長が必要な場合、これまでは大学のDesignated School Official(DSO)が、米国国土安全保障省(DHS)に属する米国移民・関税執行局(ICE)が運用する学生・交流訪問者情報システム(SEVIS)を通じて、延長手続きを行っていました。しかし今後は、DSOによるSEVIS上の手続きに加え、学生自身が米国市民権・移民局(USCIS)に滞在期間の延長を申請しなければなりません。延長申請には申請料金がかかり、バイオメトリクスの採取とともに、身元調査や安全保障上の審査が行われます。
また、修学プログラムの修了後に設けられる出国準備期間(グレースピリオド)が、60日から30日に短縮されます。さらに、入学後のプログラム変更や転校などに関する規制も、教育レベルなどによってルールが異なるものの、全体的に厳しくなります。
留学生は自分の状況に合った対応の確認を
現在、D/S制度の下でアメリカに滞在している学生について、DHSは新制度への移行に関するガイダンスを発表しています。ただし、9月15日(火)以降にアメリカを出国して再入国する場合、または滞在期間の延長を申請する場合は、新制度が適用されます。学生はDHSの移行ガイダンスを確認し、自分の状況にどのように適用されるかについてDSOに相談することが重要です。
今後、F-1ビザ保持者はI-20だけでなく、I-94に記載された滞在期限についても確認する必要があります。また、修学プログラムの延長やOPTの申請などを行う場合、新制度の影響を受ける可能性があるため、早めに大学のDSOへ相談するとよいでしょう。さらに、9月15日(火)以降にアメリカへ入国・再入国する場合は、入国のたびにI-94に記載された滞在期限を必ず確認することが重要です。I-94はこちらのサイトで確認できます。
DHSは、この新ルールは外国人留学生が本来の目的である学業を修了し、適法な手続きを取らずに滞在を続けることを防ぐものだと説明しています。今回のコラムではF-1ビザに焦点を当ててお話ししましたが、D/S制度の対象であるJ-1ビザやIビザ保持者についても、9月15日(火)からD/S制度が廃止され、固定された滞在期限を設ける制度へ移行します。















