2016年11月18日、国土安全保障省は、雇用関係に基づく永住権申請者および高度熟練技術を持つ非移民労働者に関するプログラム改善を目的とした新たなルールを策定し、これを2017年1月17日より施行しました。この新しいルールは適用範囲が多岐にわたるため、今回は注目すべきもののみをご紹介します。今回の新ルールの目的は、高度熟練技術を持つ永住権申請者および非移民ビザ労働者(就労ビザ)が、より米国に滞在しやすいようにし、高度熟練技術を持つ労働者を米国に保持したいというものです。
非移民ビザで滞在する外国人労働者は、H-1Bであれば6年、L-1A であれば7年、L-1Bであれば5年というように、ビザの種類ごとに米国に滞在できる最長期間が定められています。永住権申請していても、非移民ビザが終了すれば引き続き就労できないことが問題として挙げられていました。今回の新ルールでは、非移民ビザでの就労において継続性を持たせるために、下記の条件のもとであれば、1年間有効な就労許可証の申請が可能となりました。
- 現在米国に有効なE-3、H-1B、H-1B1、O-1、L-1の資格で滞在している(グレースピリオドを含む)。
- 本人の(家族ではなく)第一・第二もしくは第三優先カテゴリーでの移民ビザの認可が取れている。
- 移民ビザ数の年間・国別制限のため、移民ビザの割り当てを待っており(永住権申請の順番であるプライオリティ日が現行でない)、米国内での永住権者登録手続き(ステータス・アジャストメント)の申請ができない。
- かつ、就労許可証の申請を正当化できるやむを得ない状況があること。
申請した本人の家族も、本人と同時期であれば同様に就労許可証を申請でき、就労許可証の有効期間は本人と同じです。延長も可能ですが、延長申請時に上記(3)と(4)の証明または、本人のプライオリティ日とビザ・ブルティン(現在どのプライオリティ日を持つ移民ビザ申請の審査を行っているかを記した官報)上の現行日との違いが、1年もしくはそれ以下の場合という条件が必要です。
新ルールでは、E-1、E-2、E-3、H-1B、L-1およびTN非移民ビザ労働者に関しては、入国時に従来の滞在許可期間に加えて10日間のグレースピリオドが与えられることとなり、H-2Bに関しては、必ず10日間のグレースピリオドが与えられることになります。
また、E-1、E-2、E-3、H-1B、H-1B1、L-1、O-1もしくはTNビザ保持者は、ビザスポンサーである雇用主との雇用関係が無くなってから60日間まで、もしくは与えられている滞在許可がそれより短い場合はその滞在許可日まではグレースピリオドとなり、その間の米国滞在は不法滞在とはならなくなりました。グレースピリオド中であれば、米国内での滞在資格延長もしくは変更の申請が可能です。ただしこのグレースピリオドを利用できるのは、許可された滞在期間内で一度限りです。
[知っておきたい移民法]