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フルーツの王様「ドリアン」〜スタッフこぼれ話 Editor’s Note

フルーツの王様「ドリアン」

多様な食文化が共存するアメリカでは、さまざまな国の料理が身近にあり気軽に挑戦できる。「シェフがその国出身であれば、本場の味が再現されているはず」とつい勝手な期待を抱いてしまう。ゲテモノ以外なら新しい味に挑戦するのが好きだ。

今回は、子どものリクエストに応じドリアンに挑戦! アジア系通販サイト「Weee!(ウィー)」でセール中のマレーシア産ドリアン14オンス(約400グラム)を18.55ドルで購入した。通常25ドル近くするのでお得だったがそれでも高い。なぜこんなに高いのか調べてみると、中国でのドリアンブームにより需要が急増しているらしい。「きっとドリアン農家は出荷に追われているだろう」と想像しつつ、この機会を逃すまいと勇気を出して購入ボタンをポチる。

問題なく食べれたドリアン風味のココナッツのデザート。ココナッツデザート専門店「イェジ・ココナッツ・デザート」の「キャラメライズト・ドリアン」

数日後に届いた冷凍ドリアンは、黒地に金のフォントがあしらわれたゴージャスなデザインの箱で登場。数日後、いよいよ解凍して食べてみることに。あらかじめ皮がむかれ、カットされた状態のドリアンは、オレンジ色の小ぶりな鶏胸肉が4つ並んでいるよう。

ドリアンといえば「くさいフルーツ」というイメージがあるのみ。実際その通りだったのだが、においの強さを甘く見ていた。内袋を開けた瞬間から想像を超えるにおいの強烈さに意識が遠のいてゆく……というのは大袈裟だが、かなりの衝撃を受けた。「温泉のようなにおい」と表現すれば聞こえは良いが、こんな小さな果物から放たれているという事実にゾッとさせられる。「これは、俗に言う果物が持つ防衛本能。自らのおいしさを懸命に守ろうとしているからに違いない」と言い聞かせ、食卓にデザートとして出してみた。フォークでつつくと、種が大きく食べられるところは少ない。筋ばった果肉をほんの数グラムほどすくって口の中へ運ぶ。アボカドやバナナのようなカスタードっぽい食感。しかし……まずい! 「まずいと感じるのはにおいが原因なのでは?」と鼻をつまみながら食べてみたが、まったく受け付けなかった。家族全員でしばらく葛藤を重ねたすえ、「これ以上はトラウマになる」と判断し、食べるのは断念。スムージーに入れてしまえば良いかもしれないと冷蔵庫に戻す。しかし、タッパーを二重にしたにも関わらず、家中がドリアン臭に襲われたのだ。

我慢の限界に達し、数時間後にゴミ捨て場まで運んだ。それが我が家に来たドリアンの運命だった……。完全なるフードロスの悲劇に罪悪感で胸が痛んだ。

のちに聞いた話では、子どもの友達のインドネシア人の両親はドリアンが大好きなのだそう。日本の食べ物でいえば、納豆のようなものだろうか。こんにゃくもなかなかのにおいだ。食の好みは慣れも関係するのかもしれない。またいつか挑戦したい意欲はあるものの、「フルーツの王様」だけに留まらず「くさい食べ物界」でも王者の風格を漂わせる存在感には圧倒された。