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あなたの推しは、どの王妃? 「シックス・ザ・ミュージカル」 シアトル公演〜行ってきました

あなたの推しは、どの王妃?
シックス・ザ・ミュージカル
シアトル公演

取材・文:本田絢乃

 

ヘンリー8世の元妻6人がマイクを手に取り、不幸自慢を繰り広げる!? 前代未聞の新作ブロードウェイ・ミュージカルが現在、北米ツアー中。シアトルでは、7月12日から23日まで、パラマウント・シアターで上演されました。

6人のクイーンたちはそれぞれイメージカラーの衣装を着用© Joan Marcus

15世紀に生きたテューダー朝第2代のイングランド王、ヘンリー8世の妻たちを題材にしたミュージカル。と聞くと、難しそうな歴史ものかと尻込みしてしまいそうだが、その対極にある作品に仕上がっている。2017年にイギリスのケンブリッジ大学の学生2名が学内フェスティバルで上演した舞台がプロの目に留まり、再構成された脚本で、あれよあれよとウエスト・エンドでデビュー。さらに国際公演を経てブロードウェイにやって来た。

出演者はガールズ・シンガー・グループに扮した6名の王妃と、音楽を演奏するバンドの4名のみ。上演時間は80分と短め、セット・チェンジもなく、ブロードウェイ作品を名乗るには手を抜き過ぎでは?と不安になる。しかし、実際に鑑賞すると、その心配は杞憂だったとわかる。

冒頭からいきなり「離婚(divorced)、斬首(beheaded)、死別(died)、離婚(divorced)、斬首(beheaded)、生存(survived)」とのセンセーショナルな言葉。それぞれの妻たちが、どのような最期を迎えたのかを端的に表している。どれだけヘンリー8世からひどい仕打ちを受けたか、妻たちが歌とユーモアを交えた軽快なセリフで吐露していく。バンド・メンバーや観客との掛け合い、照明との小芝居などもあり、まさにライブ会場のようなノリが楽しい。

美しい肖像画を描いてもらうには努力あるのみ Haus of Holbeinではそうした苦労が歌われる © Joan Marcus

どの王妃もキャラクター作りがしっかりされており、個性にあふれ魅力的だが、レアンドラ・エリス=ガストンさん演じる2番目の妻、アン・ブーリンは、アリアナ・グランデを彷彿させるミックス・ボイスがひと際存在感を放っていたように思う。終演後、「推しは誰?」という会話があちこちでなされたに違いない。