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ワシントン州日米協会主催「ジャパン・イン・ザ・スクール」〜特別レポート

ワシントン州日米協会主催
「ジャパン・イン・ザ・スクール」

取材・文:加藤良子

ワシントン州日米協会(JASSW)が50年にわたり無料で提供している教育プログラム「ジャパン・イン・ザ・スクール(JIS)」には、「スーツケースの中の日本」と呼ばれる特別授業があります。日本の子どもが日常的に使う学用品をスーツケースいっぱいに詰めて、協会スタッフがピュージェット湾地域の小・中・高の学校を訪れ、日本の学校生活や文化を紹介します。今回はジョン・スタンフォード小学校4・5年生を対象に行われた授業の様子をレポートします。

授業では、日本の小学生が送る学校生活の1日を、登校から下校まで順を追って紹介する。まず児童たちの目を引いたのは、黄色い帽子とランドセル。ランドセルへの反応はさまざまで「箱みたい」「ジッパーがない」「そんなにたくさん入らなそう」「大きさは選べるの?」「燃えない素材で、防水加工されていそう」などコメントが飛び交った。交通安全のために黄色い帽子をかぶることが説明されると「日本は安全だから子どもが1人でも出歩けるんでしょう? だから日本に住みたいんだ!」という声も。この日のクラスは26人で、徒歩通学の児童はわずか2、3人。原則として保護者と一緒に通学しなければならない現状を考えると、日本の治安の良さが際立って見えたのだろう。

子どもを飽きさせないようテンポよく盛り上げていく様子は、まさにベテランの技

続いて取り出されたのは世界地図だ。日本では太平洋を中心にした地図が一般的だが、アメリカの地図は日本が右端の極東に配置されている。一方、オーストラリアでは南極が上部中央に位置する「逆さま」の世界地図が使われていることも紹介され、国や地域によって世界地図の視点が異なることが示された。

校舎の写真を見た児童からは「病院みたい」「日当たりが良さそう」といった感想が相次いだ。下駄箱のほか、家の中や病院、トイレなどでもスリッパに履き替える習慣があることが説明されると「面倒くさそう」といった素直な反応も。

授業の最後は、日本の号令で締めくくられた。子どもたちが一斉に「起立!」と声を上げると、「あなたたちは言わなくていいんですよ」と声がかかり、ほほ笑ましい一幕が見られた。児童たちから「礼」を受けた担任のメリッサ・イーストマン先生も「気に入った」と満足げだった。

給食着やランドセル、上履き、雑巾。アメリカの小学校ではあまり見られない学用品が並ぶ

シアトルで暮らす中で、日本食や日本文化がさまざまな形で受け入れられていることを肌で感じるたびに、「ジャパン・イン・ザ・スクール」のような地道な活動が確実にその土壌を築いてきたのだと気付かされる。種がまかれ、芽が育ち、異文化を自然に受け入れられる人が育っていく。そうした人々がいつか情報を発信する側に立ち、やがて社会にやさしい循環を生み出していくのだろう。異文化理解は単なる知識の習得にとどまらない。多様な価値観を尊重し、共に生きる社会を築くために欠かせないものだ。「ジャパン・イン・ザ・スクール」の授業は、そんな未来への希望を感じさせるものだった。

ワシントン州日米協会の「スーツケースの中の日本」は学校や教育機関からの申し込みに応じて無料で実施されている。関心のある教育関係者は、ぜひ問い合わせてみてほしい。

 
ワシントン州日米協会「ジャパン・イン・ザ・スクール」プロジェクト
高校生向けにはロールプレイング形式のプレゼンテーションも実施。これまで延べ6万人以上の生徒がプログラムに参加している。2009年には三菱商事および国際対話部から助成金を受けるなど、学校行事や地域の文化フェアにも参加しながら活動を続けている。

ボランティア募集の説明会を実施!
日本の学校生活や文化を紹介するボランティアを募集中。概要説明や練習会も開催される。当日参加も可能。

日程:2026月1日31日(土)2pm~4pm
場所:Bellevue Children’s Academy North Campus, Satellite
   14673 NE. 29th Pl., Bellevue, WA 98007
問い合わせ:☎︎206-374-0180、jis@jassw.org
詳細:https://jassw.org/education/jis