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ジョン・スタンフォード小学校日本語教育の取り組みを取材〜特別レポート

ジョン・スタンフォード小学校
日本語教育の取り組みを取材

取材・文:加藤良子

日本語と英語で授業を行い、両言語に浸る(イマージョン)ような環境の中でバイリンガル育成を行うイマージョン・プログラム。同カリキュラムを導入しているジョン・スタンフォード小学校で毎年開催されている「ジャパンナイト」とそろばんの特別授業を見学しました。

日本文化を紹介するイベント「ジャパンナイト」

浴衣の着付けを楽しむ子どもたち

3月21日、ジョン・スタンフォード小学校の体育館で行われた「ジャパンナイト」は児童や保護者、学校関係者で活気にあふれ、日本語が飛び交う様子はアメリカの公立小学校とは思えないほどだった。

各クラスによるダンス披露では、米津玄師の「パプリカ」やクリーピーナッツの「ブリン・バン・バン・ボーン」など日本のヒット曲に合わせて、子どもたちが元気いっぱいのパフォーマンスを披露した。ほかにも、輪投げ、コマ作り体験、習字といった日本文化体験のアクティビティーコーナーも設けられ、浴衣の着付け体験コーナーは、20着ほど用意されたにもかかわらず途切れることなく着付けが行われるほどの人気ぶり。フォトブースには撮影を待つ列ができていた。

シアトルのローカル局KING5で、長年ニュースキャスターを務めた日系アメリカ人のローリー・マツカワ氏も来場。日系一世の姿を描いた自著の絵本「ブレイブ・ミセス・サトウ」を手に子どもたちとの交流を楽しんだ。オリンピック銀メダリストの平岡選手による柔道のパフォーマンスも行われ、大人にとっても見応えのあるステージに、会場は熱気で包まれた。

シンシア・サイモン・ルーク先生よりハワイで生まれ育ち、中学・高校時代にアラキヒロヤそろばんスクールで大嶋秀明先生、恭やすこ子先生に大変お世話になり、そろばんに夢中になりました。週4日、10年間通い続けて5段を取得。教室は第2の実家のような存在です。現在はジョン・スタンフォード小学校で2、3年生の日本語イマージョンプログラムにおける英語側の担任を務め、週2回、放課後には希望する子どもたちにボランティアでそろばんを教える活動も続けています。ジャパンナイトでは「もっと多くの子どもたちにそろばんの魅力を知ってほしい」という思いからそろばんブースを担当しました。大好きなそろばんを子どもたちに教えることができて、本当に楽しい時間でした。

日本語で行われた特別授業「そろばん体験」

「ジャパンナイト」に続いて同校では4月10日、そろばんの特別授業を実施。この日は、シアトル算数珠算学院のフォレール優香先生と、播州算盤工芸品協同組合の宮永英孝さんが講師として招かれ、授業は全て日本語で進められた。

そろばん特別授業の様子

まず、兵庫県を代表する伝統的工芸品である「播州そろばん」の製造工程を紹介する動画が上映され、続いてフォレール先生による基本的な使い方の実演とクイズを実施。簡単な問題には多くの子どもたちが即座に正答し、習熟ぶりに驚かされた。さらに2桁、3桁の暗算やフラッシュ暗算をこなす子どもたちの映像が映し出されると、教室中に感嘆の声が響いた。その後、8秒間に3桁の数字5つが表示されるフラッシュ暗算にも全員で挑戦。その難しさにどよめきが起こる場面も。そろばん教室に通う児童が見事に正解すると、一斉に歓声が上がった。

珠の入っていないそろばんの竹に、制限時間内に何個の珠を入れられるかを競うアクティビティーも行われ、活気あふれる中、特別授業は締めくくられた。「

ジャパンナイト」や特別授業を通して感じられたのは、学校全体が多様な文化を積極的に受け入れ、盛り上げようとする温かい雰囲気だ。家庭という枠を超えて日本文化を学び楽しむ環境は、異文化への思いやりを育み、子どもたちのアイデンティティー形成に大きく寄与するかけがえのない機会となるだろう。

サム・エイブラムス校長より日本語イマージョンプログラムは単なる教育活動ではなく、私たちの地域社会における文化的なつながりの中核を担うものだと考えています。このプログラムは生徒たちが日本の文化や言語への理解を深め、より豊かな学びを得る助けとなります。これらの活動は、多様性への理解や感謝、尊重の心を育むと同時に、生徒たちの将来、ひいては、地域社会全体への大きな投資になると信じています。