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麻葉の見た―アーミッシュの世界 ~第10回~

10年前からアーミッシュ文化について調べている筆者が、2度にわたってペンシルヴァニア州、オハイオ州のアーミッシュ・コミュニティーで暮らした体験を紹介。

寄稿・写真 吉田麻葉

◆アーミッシュの学校

アーミッシュは独自の学校を運営しています。「アーミッシュスクール」と呼ばれる8年制の学校で、近所の子どもたち約30~40人が通います。
写真は、私が見学させてもらったオハイオ州の学校。普通、アーミッシュの学校は「ワンルームスクール」といって、生徒全員が同じ教室で一人の先生から学びますが、この学校の場合は年長と年少で教室が2つに区切られていました。
見学客が訪れると生徒たちが黒板の前に集められて合唱をするという習慣があるらしく、この時も生徒たちがずらりと並び、私たち数人のために歌ってくれました。日本の学校と同じで、「歌いたくないから適当に口パクしている」やる気のない生徒もいて、申し訳ないような微笑ましい感覚を覚えました。

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◆アーミッシュは義務教育を受けなくてよいのか

アーミッシュは独自の学校に通うため、アメリカの一般的な義務教育を受けていません。この事実はたびたび州政府側から問題視されていたのですが、ある事件をきっかけに事実上アーミッシュの学校が義務教育の代わりとして認められることになりました。
1972年、3人のアーミッシュが子どもを公立学校に通わせないという理由で起訴されました。
しかし、連邦最高裁の判決でアーミッシュ側が勝訴となったのです。「信教の自由」を保障しているアメリカとしては、アーミッシュの信仰からくる教育方針を認めざるをえない、という判断です。

◆ワンルームスクールの授業の進め方

一つの教室で1人の先生が教えるワンルームスクールが一般的なアーミッシュの学校ですが、いったいどのように授業が進行されているのか気になっていました。実際は、各学年ごとに先生の黒板近くのテーブルに招集されて、授業が行われていました。その間、他の学年の生徒たちは自習タイム。静かにテキストを読み込み、自分たちの番が来るのを待ちます。同じ教室内で授業が行われているので、聞き耳をたてていれば予習復習も可能。「ある意味うまいシステムなのかな?」とも感じました。
休み時間になると、生徒たちは一斉に外に出て遊び始めます。年長の生徒たちは野球、年少の生徒たちは鬼ごっこなどのシンプルな遊び。男の子も女の子も、分かれることなく楽しそうに過ごしていました。

[麻葉アーミッシュの世界]