注目の新作ムービー
フェミニズムの到達点のひとつ
Black Widow
(邦題「ブラック・ウィドウ」)
ほぼ1年ぶりに劇場で観た映画が本作。そのせいか、娯楽性のあるアクション映画の楽しさはシアター鑑賞にこそあり、と感慨深かった。もういくつ作られたか追うのが難しい「マーベル・シネマティック・ユニバース」作品。「アベンジャーズ」シリーズで活躍した謎の元女スパイ、ブラック・ウィドウことナターシャ・ロマノフ(スカーレット・ヨハンソン)の過去をたどる物語だ。「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」で描かれたアベンジャーズ分裂事件後に、罪を問われ逃亡者となっていた時期からストーリーは始まる。
エレーナから、レッドルームが今も健在で、ドレイコフ(レイ・ウィンストン)が少女たちを洗脳してブラック・ウィドウという暗殺者に育て上げ、世界を陰から操っていることを知らされるナターシャ。合成ガスで洗脳から覚醒したエレーナは、ドレイコフとの因縁を持つ姉と共に、レッドルームの壊滅とウィドウたちの解放を目指すのだった。
姉妹が極悪男にマインドコントロールされる若い女たちを救うために闘う、というプロットが、#MeToo運動が吹き荒れたハリウッドを反映している気がした。娯楽アクションとはいえ、映画は時代を映す鏡。フェミニズムの考えが米国社会やハリウッドに与えた影響は大きく、本作はその到達点のひとつの形なのかもしれない。
Black Widow
邦題「ブラック・ウィドウ」
上映時間:2時間14分
写真クレジット:Walt Disney Studios、Motion Pictures
シアトルではシネコンなどで上映中。