注目の新作ムービー
エルヴィス・プレスリーの真価
Elvis
(邦題「エルヴィス」)
大ヒット中の「トップガン マーヴェリック」を抜いて、興行成績第1位に躍り出たエルヴィス・プレスリーの伝記映画。監督は「ムーラン・ルージュ」、「華麗なるギャツビー」など、ド派手な映像で知られるバズ・ラーマンだ。出だしからグリッターキラキラのまばゆい映像でラーマン世界へ引きずり込み、2時間半はあっと言う間。観終わるとプレスリーを演じたオースティン・バトラーのスター誕生を確信した。
物語は、テネシー州メンフィスの貧しい子ども時代から始まる。ゴスペルやアフリカ系アメリカ人音楽に強い影響を受けたプレスリー(バトラー)が、白人と黒人の間で分断されていた音楽を融合し、新しいジャンル、ロックンロールで50年代の全米の音楽シーンを嵐のように席巻していく。
ソロアーティストとしてのレコード売り上げは、いまだトップを譲らない。42歳の若さで亡くなったロックのレジェンドではあるが、筆者はプレスリーに対してどこか泥臭いイメージを持っていた。しかし、そんな偏見は本作を観て払拭された。
とにかくバトラーのステージが圧巻なのだ。前半の歌はバトラー自身が歌っているというのも驚いたし、こんなエキサイティングなステージを生で見られたら……と、思わず身を乗り出してしまった。本作の出演のために発声法から歌唱まで、3年間の厳しいトレーニングを受けたと聞く。彼がいなければ、本作の成功はあり得なかっただろう。
プレスリーのファンでもそうでない人でも、映画館の大画面でプレスリーの世界を体感して欲しい。「映画は映画館で観るべき」と再確認させてくれるはずだ。
Elvis
邦題「エルヴィス」
上映時間:2時間39分
写真クレジット:Warner Bros. Pictures
シアトルではシネコンなどで上映中。