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The Naked Gun(邦題『裸の銃を持つ男』)〜注目の最新ムービー

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笑わない俳優リーアム・ニーソンが適役


The Naked Gun/邦題『裸の銃を持つ男』

最近はヒット作のリブートが続いている。本作も1988年に公開され、計3作が制作された同名の人気犯罪アクション・コメディー・シリーズのリブート。なんと31年ぶりの新作で、オリジナルを楽しんだ世代は50代プラスということになるだろうか。近年、コアなコメディー映画の劇場公開は減少傾向にあり、新作であっても即ネット配信されることが多い。そんな中で、本作はあえて強気の劇場公開。大丈夫か? 筆者が心配しても仕方がないが、公開時の全米興行成績は第3位と、まずまずのスタートを切ったようだ。

主人公は、かつて向こう見ずで知られたロス市警の警部補フランク・ドレビン(レスリー・ニールセン)の息子、フランク・ドレビン・ジュニア警部補(リーアム・ニーソン)。彼は父親譲りの無鉄砲さで、少女の扮装ふんそうをして銀行強盗の現場に入り、一人で強盗団を全員片付けるという神業を見せる。ところが、主犯の狙いは、貸金庫に保管されている「P.L.O.T.デバイス」と呼ばれる装置を盗むことにあった。

このデバイスは脳に働きかけて人を凶暴化させるもので、大富豪リチャード・ケイン(ダニー・ヒューストン)ら億万長者たちが世界支配をもくろみ利用しようとしていたのだった。このデバイスを悪の手から奪還するというのが本作のメインプロット。そこに、ケインに謀殺されたエンジニア、サイモンの妹ベス(パメラ・アンダーソン)が絡んでいき、大真面目なフランクとのロマンスも描かれる。もとよりシリアスで渋い役柄が多いニーソンは、全編ニタリとも笑わないドレビン役にピッタリ。その存在感が作品の成功につながっている。

そもそも本シリーズは、1982年のテレビシリーズ『フライング・コップ 知能指数0分署(原題:Police Squad!)』という今ならまず使えない名前の刑事コメディーの映画化から始まった。典型的な刑事もののパロディーで、かなりのスピードで打ち出されるおふざけやギャグ、ジョーク、身体的に絶対あり得ないアクションなどが特徴。その伝統はリブート版にもしっかりと受け継がれている。この作風を生み出したのは、映画製作チーム「ZAZ」のデヴィッド&ジェリー・ザッカー兄弟と幼なじみのジム・エイブラハムズの3人。2000年代には『絶叫計画(原題:Scary Movie)』シリーズなど、数々のコメディー映画を手がけた。本作を観ていると80年代、90年代コメディーの奇抜なトレンドがぎっしり詰まっていて懐かしい。どちらかというとおじさんギャグが多いように感じた。

本作ではZAZは関わっておらず、製作はアニメ『ファミリー・ガイ』でヒットを飛ばしたセス・マクファーレン、監督は『サタデー・ナイト・ライブ』の制作に携わっていたアキヴァ・シェイファーが務めている。電気自動車が暴走したり、大富豪が世界制覇をたくらんだり、刑事たちがやたらにコーヒーばかり飲んでいたりと、今風のギャグも散りばめられ、笑わせてくれた。

The Naked Gun(邦題『裸の銃を持つ男』)

写真クレジット:Paramount Pictures上映時間:1時間25分シアトル周辺ではシネコンなどで上映中。

土井 ゆみ
映画ライター。2013年にハワイに移住。映画館が2つしかない田舎暮らしなので、映画はオンライン視聴が多く、ありがたいような、寂しいような心境。写生グループに参加し、うねる波や大きな空と雲、雄大な山をスケッチする日々にハワイの醍醐味を味わっている。