注目の新作ムービー
タコと心の交流をした男性の物語
My Octopus Teacher
(邦題「オクトパスの神秘:海の賢者は語る」)
タコと聞くと何を思うだろうか。まず寿司や刺身、酢ダコなどを思い浮かべる人がいるかもしれない。本作は日本ではもっぱら食用として知られるマダコと心の交流を持った男性の記録映画だ。今年のアカデミー賞ドキュメンタリー映画賞を受賞した秀作で、監督/脚本はピッパ・エアリックとジェームズ・リード。
1年近く経つと、毎日訪ねてくるフォスターをタコが認識し、彼の手に巻き付いてくるほど親しい関係が育っていた。そんな頃、共にダイブする息子と海の素晴らしさを共有するフォスターの心は確実に快方へと向かっていた。
タコは自分を守るために体の色を自在に変化させる軟体動物、ということは知っていたが、人と交流する能力があるとは思わなかった。フォスターがやって来ると、彼の体にまとわりついて喜びを表現する様子にはびっくりだ。フォスターもまた、タコがサメに狙われる様子にハラハラしたり、姿が見えなくなって慌てたりして、友人や家族のように感じていることがわかり、微笑ましかった。
フォスターはこの体験を通して、2012年に「シーチェンジ・トラスト」を仲間と設立。南アフリカの海洋保護区を持続的に保護するため、映画や本、展示会や生物科学による海洋生物学の研究など、活発にキャンペーンを行っている。