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ポスターを翻訳してみよう〜技あり! 機械翻訳達人への道

機械翻訳の精度は飛躍的に向上。でも、よく読むと「あれれ?」な部分も。ちょっとしたコツで見違えるほど自然な日本語に直せる技を紹介します。

【今回の例文】

SHARE THIS SPACE NOT YOUR GERMS. 

Help stop the spread of COVID-19. 

WEAR PROTECTIVE FACE COVERING: Wear a face covering over your nose and mouth and avoid touching your face. 

WIPE SURFACES: Before and after use. 

PRACTICE PHYSICAL DISTANCING: Keep six feet apart all times 

COVER COUGHS AND SNEEZES: Please use a tissue or the inside of your elbow. 

Dispose of tissues in the trash. 

WASH YOUR HANDS: Wash hands often and for 20 seconds. 

STAY HOME IF SICK: Unless seeking medical care, stay home if you’re sick and avoid close contact with people who are sick.           

                                                                    (出典:City of Seattle) 

【機械翻訳】

あなたの細菌ではなく、この空間を共有してください。

COVID-19の蔓延を防ぐために、ご協力ください。 

顔面保護具を着用する:鼻と口を覆うカバーを着用し、顔には触れないようにしてください。 

表面を拭く:使用前と使用後に拭きます。 

物理的距離をとる:常に6フィート離れてください。 

咳やくしゃみをカバーする:ティッシュか肘の内側を使用してください。ティッシュはゴミ箱に捨ててください 

手洗い:20秒間、頻繁に手を洗いましょう。 

病気のときは家にいる:医療を受ける場合を除き、病気のときは家にいて、病気の人との密接な接触を避けましょう。

(DeepL翻訳)

【修正後】

感染予防のため、前後の人と距離を取って! 

新型コロナウイルス感染症対策にご協力ください。 

マスクを着用:マスク等で鼻と口を覆い、むやみに顔を触らないように。 

表面を拭いて消毒:使用前後の消毒を心がけましょう。 

身体的距離を確保:前後の人とは2メートル離れてください 

咳エチケットの実践:咳が出るときはティッシュまたは袖で押さえ、使ったティッシュはゴミ箱へ。 

手洗い20秒:こまめに手を洗いましょう。 

気分が悪いときは外出しない:医療機関を受診する場合を除き、具合が悪いときは外出せず、また体調不良の人との接触は避けましょう。  


このポスターは、シアトル市内の行政機関の窓口で実際に張られているものです。列に並ぶ際、周囲の人と距離を取るように促しています。日本語版にするなら、どんな表現だと効果があるかを考えながら訳してみましょう。

今回のポイント

1. ひと目でメッセージが伝わるように          

 「SHARE THIS SPACE NOT YOUR GERMS」は、なかなかキャッチ—な表現です。「広げよう、人との距離。防ごう、雑菌」という意味ですが、無理に訳すとおかしな日本語になってしまいます。ここはポスターの真意を伝えることを第一に考えましょう。  

2. ソーシャル・ディスタンス?  

 日本では「ソーシャル・ディスタンス」と言いますが、もともと「社会的孤立」を意味し、差別的な意味合いを含むという理由で、WHOが「フィジカル・ディスタンス」への言い換えを推奨しています。そのため、身体的距離としました。   

3.  sickの訳し方       

 sickはこの場合、病気とは限らず、「具合が悪い」、「気分が優れない」、「体調不良」なども含まれます。    

まとめ     

 ポスターのように短い表現でありながらメッセージ性の高いものは、直訳すると意味がぼやけ、本来の目的(この場合は注意喚起)が損なわれてしまいます。原文の意味をよく理解したうえで、最も伝えたいことがストレートに届くような表現にすることが大事です。    

フリーランス翻訳家・通訳。外務省派遣員として、92年から95年まで在シアトル日本国総領事館に勤務。日本へ帰国後は、政党本部や米国大使館で外交政策の調査やスピーチ原稿の執筆を担当。キヤノン元社長の個人秘書、国連大学のプログラム・アシスタントなどを経て、フリーに転身。2014年からシアトルへ戻り、一人娘を育てながら、 ITや文芸、エンタメ系を始めとする幅広い分野の翻訳を手がける。主な共訳書は、金持ち父さんのアドバイザーシリーズ『資産はタックスフリーで作る』など。ワシントン州のほか、マサチューセッツ、ジョージア、ニューヨーク、インディアナ、フロリダにも居住経験があり、米国社会に精通。趣味はテニス、スキー、映画鑑賞、読書、料理。