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ワシントン・オレゴン・カリフォルニア3州が連携して経済復興へ

ワシントン州ジェイ・インズリー知事、オレゴン州ケイト・ブラウン知事、カリフォルニア州ギャビン・ニューサム知事は4月13日、連名で共同声明を発表し、経済活動の再開および新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大阻止に向けて、3州が連携することを明らかにした。経済活動の再開に向けて、「州民の健康を最優先」「政治判断ではなく、科学的知見に基づいた政策決定」「地域間で連携してこそ効果が発揮」の原則に合意し、各州が独自策を講じる際の基準としていく。

3州全域の人口は約5,134万人にのぼり、全米の6人に1人がこの地域に住む。経済規模は、3州合わせた2018年のGDP総額が3兆7千ドルを超え、全米の2割弱を占める。米国の対外貿易の玄関口でもあり、3州が新型コロナウイルスに打ち勝つ意義は極めて大きい。

共同声明では、経済活動再開の時期判断やその後の対応について、3州で連携する方針を明らかにしている。自宅待機命令の解除については、公衆衛生と社会的弱者への影響など、総合的な観点から判断されるものとしている。また、経済活動の本格的な再開は、感染率の低下がデータとして確認されてからとし、3州共同で判断基準や指標を定めるとした。

各州の感染者数は4月18日現在、ワシントン州が11,790人(死者数634人)、オレゴン州が1,844人(死者数72人)、カリフォルニア州が30,333人(死者数1,166人)になっている。3州は米国内でも早急に緊急事態宣言と自宅待機命令が発令されており、ワシントン州では2月29日と3月23日、オレゴン州では3月8日と3月23日、カリフォルニア州では3月4日と3月19日にそれぞれが発令された。共同声明では、迅速かつ徹底した対策で、3州では新型コロナウイルスの感染拡大が鈍化していると協調。その上で、長期的な感染拡大抑制への取り組みとして、以下を掲げた。

  • 介護施設や長期療養施設での集団発生を防ぐなど、重症化しやすいカテゴリーの人たちを保護
  • 病院の収容・治療能力や、防護に必要な医療物資の供給など、新型コロナウイルスやその他の疾患に罹患した患者に対する医療体制を確保
  • 社会的弱者のコミュニティーを重点的に、新型コロナウイルスに直接関係しない健康被害の軽減にも対処
  • ウイルス検査や感染経路の追跡、感染者の隔離など、州民を守るための体制を強化。3州で情報を共有しながら最善の方法を模索

新型コロナウイルスは国境や州をまたいで移動するため、政府のあらゆるレベルで協力しあい、事態の把握に努めることが肝心だ。3州はいずれも民主党知事であることから、トランプ大統領が指揮する連邦政府の方針から離れて独自の連携に進んだともいえるだろう。

keiko schlegel
フリーランス翻訳家・通訳。外務省派遣員として、92年から95年まで在シアトル日本国総領事館に勤務。日本へ帰国後は、政党本部や米国大使館で外交政策の調査やスピーチ原稿の執筆を担当。キヤノン元社長の個人秘書、国連大学のプログラム・アシスタントなどを経て、フリーに転身。2014年からシアトルへ戻り、一人娘を育てながら、 ITや文芸、エンタメ系を始めとする幅広い分野の翻訳を手がける。主な共訳書は、金持ち父さんのアドバイザーシリーズ『資産はタックスフリーで作る』など。ワシントン州のほか、マサチューセッツ、ジョージア、ニューヨーク、インディアナ、フロリダに居住し、米国社会に精通。趣味はテニス、スキー、映画鑑賞、読書、料理。