宇和島屋 最新情報!
パブリックス /カイ・マーケット
取材・文: 佐々木志峰
宇和島屋はスーパーマーケット経営のみならず、企業としてさまざまな事業を進めている。昨年はシアトル店の隣に「パブリックス(Publix)」と呼ばれるアパートと商業スペースの複合ビルを建設。今春にはレイクユニオン地区で、新ブランド「カイ・マーケット(Kai Market)」を開店する。
インターナショナル・ディストリクトでの不動産開発
パブリックスはインターナショナル・ディストリクト駅の正面、中華門の脇に建ち、当ディストリクト再活性化のプロジェクトの一つとして期待を集めている。宇和島屋は2000年に、シアトル本店「宇和島屋ビレッジ」の再開発にあたり、ビルの上階にアパートを建設したが、アパート部分は他社へ売却している。パブリックス内の上階アパートは他社売却されておらず、同社にとって初のアパートメント経営となる。
6階建て、125室のアパートは昨年に完成し、現在の賃貸率は9割以上だという。地上階は1万2000平方フィートの商業店舗スペースが広がる。4月現在、小籠包などの点心料理で人気の「Dough Zone Dumpling House」と、ハンバーガー店「Great State Burgers」の2店舗がリース契約を結び、今年中の開店へ向けて準備を進めている。両店舗ともローカル発のビジネスだ。
店舗招致についてデニース・モリグチCEOは「ローカルビジネスであればアジア系にこだわらない」と述べ、多様化の続くインターナショナル・ディストリクトに合わせた店の招致を進めていくと話す。同事業を担当するミエ・モリグチさんによると、パブリックスの事業が軌道に乗り次第、脇に並ぶ青い瓦屋根が懐かしい旧宇和島屋シアトル店の区画開発も検討されていくという。
パブリックスの北棟は1928年に建てられ、移民や地元労働者の生活の場となったパブリックスホテルの外観を残す。ロビーは当時の雰囲気が残り、建物の歴史、歩みに触れることもできる。
新ブランドの展開へ
もう一つ、宇和島屋の新しい事業として大きな可能性を秘めているのが、再開発で賑わいを見せるサウスレイクユニオン地区にオープンする小型食品店「カイ・マーケット」だ。オフィスビル「400フェアビュー」の地上階に、シーフードを中心にアジア系の食材、デリを加えた新ブランド店を立ち上げる。
フリーウェイI-5の出入り口やシアトル・タイムズ社屋が面する通りで、建物の中の広いスペースには地元経営のカフェやバーが並ぶ。シーフードの鮮度を保つ大きな水槽など、従来の宇和島屋のイメージに新たな一面を加える店構えも注目される。
絶好の立地から、テイクアウトで大きな人気を集めそうだといった地元食品関係者の声もある。店前には食事や休憩用の席も設けられており、周辺ビジネス関係者で賑わいを見せそうだ。デニース・モリグチCEOも、目まぐるしく変化を遂げるサウスレイクユニオンの需要に応えていきたいと意気込む。新ブランドとしての事業展開も視野にいれている。うまくいけば「地元と食」を結び続ける宇和島屋の新しい挑戦が始まっている。
宇和島屋はスーパーマーケット経営のみならず、企業としてさまざまな事業を進めている。昨年はシアトル店の隣に「パブリックス(Publix)」と呼ばれるアパートと商業スペースの複合ビルを建設。今春にはレイクユニオン地区で、新ブランド「カイ・マーケット(Kai Market)」を開店する。