世界を魅了するサムライギタリストがシアトルにやって来る!
ロック・ミュージシャン MIYAVI
これまでに約30カ国350公演以上のライブ、7度ものワールド・ツアーを行う世界的技巧派ギタリスト、MIYAVI(ミヤビ)の3度目となるシアトル公演が7月26日に開催。7月24日リリースのニューアルバム、「No Sleep Till Tokyo」を引っさげてのワールドツアーで新たに生み出される音楽とは? プライベートを含め、根掘り葉掘り聞いちゃいました。
(取材・文:加藤 瞳)
―なぜ音楽の道へ?
小さい頃からサッカーをしていました。プロ選手を夢見て、ジュニア・ユースにも入りましたが、足のけがで断念。それをきっかけに、仲間と「バンドをやろう」という話になり、ギターと出合いました。
仲間との音楽活動の楽しさ、創作の自由を感じながら、ギターにのめり込んでいきました。最初から「憧れのロック・スター」がいたわけでもないんです。ずっとボールを蹴ること以外頭になかった。その夢を失い、挫折した自分を、ギターが救ってくれました。
―影響を受けたミュージシャンはいますか?
バディ・ガイや、B.B.キング、レイ・ボーンなど、楽しそうに弾くギタリストが大好きです。
※バディ・ガイ(1936〜):シカゴを代表するブルース・ギタリスト。B.B.キング(1925〜2015):ブルース界の巨人と呼ばれるギタリストであり歌手。スティービー・レイ・ボーン(1954〜1990):最も偉大なギタリストのひとりに選出されたアメリカのブルース・ロック・ギタリスト。
―もともとはビジュアル系ミュージシャンとしてデビュー。今とは随分違いましたね?
「シルク・ドゥ・ソレイユ」など、音だけでなく視覚的なパフォーマンスや演出、いろんな要素が詰まっているショーやコンサートが好きなんです。当時、 デビッド・ボウイやバウハウス、X JAPANといった国内外のアーティストにそういった要素を感じ、影響を受け、ビジュアル系のスタイルを始めました。
海外をツアーで回るたびに、日本人・アジア人の自分が、西洋の楽器であるギターを弾く意義を考えさせられます。世界中にたくさんの素晴らしいギタリストがいる中で、自分らしさや、自分にしかない物を追求した結果、現在のスタイルにたどり着きました。
「カブキボーイズ」として、DJ、タップダンサー、ビートボクサー、ペインター、BMXライダーなどと大所帯での演奏などをいろんなスタイルでやっていましたが、独立を機に逆に極限まで削ぎ落としてみようと思い、現在のドラムとギターのみのスタイルになりました。ドラマーのボボ(BOBO)くんとの出会いも大きかったです。
※バウハウス(1979年〜):イギリスのゴシック・ロック/グラム・ロック・バンド。
―MIYAVIさんの代名詞であるスラップ奏法は本来、ベースギターのイメージがあります。なぜ、ギターで?
日本の伝統的な楽器、三味線からインスパイアされました。一発にかける熱量とパワーは、空手や相撲などと同じく世界に引けを取らない、日本人や日本文化独特のもの。音楽的なテクニックにおいては、ラリー・グラハムや、マーカス・ミラーなど、ベーシストから学びました。
※スラップ奏法:ベースギターの奏法のひとつ。弦を叩くように強く指で弾く。ラリー・グラハム(1946〜):スラップ奏法を生み出したと言われる、ファンク・ミュージシャン。マーカス・ミラー(1959〜):マイルス・デイビスとの共演で来日もした著名ジャズ・ベーシスト。
―これまでの活動の中で、印象的だった出来事を教えてください。
2017年にジュネーブで行われたナンセン難民賞の式典で、弦楽カルテットと共に地元の子どもたちと演奏しました。客席にいた政府関係者などいろんな人たちを「ロック」できたことは、音楽を通じて、もっと世界に発信できるという確信につながりました。
2014年に俳優として出演したハリウッド映画「不屈の男 アンブロークン」で、他人の人生を学び、観察し、それを自分の体に取り込むという行為は、ミュージシャンのパフォーマンスとは違い、ニュートラルにならないとできない部分もあると知り、その後の音楽制作にも影響する、素晴らしい経験になりました。
現在、国連難民高等弁務官事務所の親善大使を務めていますが、それは、映画の監督を務めたアンジェリーナ・ジョリーのように、エンターテインメントの第一線で戦っている人が難民問題や世界が抱える問題に深く携わっていることに感動したから。ギターを担いで訪ねた難民キャンプで、子どもたちの純粋さとエナジーの大きさを目の当たりにして、音楽を通じて自分にもできることがあればやりたいと思いました。責任を感じると共に、正直に言うと、今すぐ現状を変えられない自分の無力さを痛感することもあります。でも、できることをひとつずつやっていくのみだと感じています。
―プライベートについて教えてください。好きな物、ハマっていることは?
きなこです! 豆腐や豆乳なども好き。休日はジムに行ったり、娘たちと遊んだり。ミュージシャンでは最近、ビリー・アイリッシュに注目しています。服はヨージ・ヤマモト、Y-3 をよく着ています。機能性と「アティチュード」を兼ね備えたブランドが好きです。
―今回のアルバムとツアー、「No Sleep Till Tokyo」で注目すべきポイントは?
ロサンゼルスに移り、5年ほど経ちました。今、改めて日本語を含め、日本文化の素晴らしさを感じています。新たな視点から日本人としてのアイデンティティーをこの作品で見出せたような気がしています。これまでギタリストとして、スラップ奏法に加え「ギターで歌う」というところにフォーカスしてきましたが、今回は自分の声でも歌っています。たくさんの日本語歌詞含め、最新のMIYAVI サウンドをお届けします。
今回のツアーでは、音像(再生された音の空間的広がり)において「WHATS MY NAME」からのギター・スラップと、「FIRE BIRD」からのスケール感を合体させました。新しい歌詞の流れを含め、ニューアルバムの世界観を体感してもらえると思います。
―シアトルのファンにひと言!
いつも熱いサポートをありがとうございます。シアトルに来ると、パイクプレイス・マーケットや海沿いの道は好きでよく歩きます。今回もシアトルに最高のギター・ミュージック&フューチャー・ロック・ショーを届けにいくので、楽しみに待っていてください。
日程:7月26日(金)8pm〜(開場7pm)
場所:The Neptune Theatre
1303 NE. 45th St. Seattle, WA 98105
料金:前売り$28.50、当日$33.50、VIP$73.50
問い合わせ:☎︎1-800-982-2787
詳細:www.stgpresents.org
MIYAVI■アーティスト/ギタリスト。大阪府出身。2002年からソロ活動を開始し、エレキギターを、ピックを使わず全て指で弾くという独自の「スラップ奏法」で、「サムライギタリスト」と呼ばれ、世界から注目を集める。また、SMAPなどさまざまなアーティストへの楽曲提供や、X JAPANのYOSHIKIが立ち上げたバンドにギタリストとして参加するなど、幅広く活躍。2014年のアンジェリーナ・ジョリー監督映画「Unbroken」では俳優としてハリウッド・デビューを果たす。2017年、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の親善大使に任命される。