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ポップシンガー Sophieさん

人生、何が起こっても歌がいつもそばにいてくれる
ポップシンガー Sophieさん

昨年、初シングルをリリースした東京出身、ベルビュー在住の現役大学生、Sophieさん。英語と日本語の両バージョンある歌には、どのような思いが込められているのでしょうか。気になる生い立ちからデビュー秘話まで、注目の19歳シンガーの素顔に迫ります。

ベルビューにあるレコーディングスタジオにてマイクの前では声量よりもクオリティー感情を込めて歌いますと2年半通う中でコツを学んだと話すSophieさん

Sophie(ソフィー)■ 2001年、中華系のルーツを持つ父とミズーリ州出身の母の間に生まれる。小学校卒業まで東京都品川区で家族と暮らしていた。以降はベルビュー在住となり、現在は大学で音楽を勉強中。在学中の2019年11月、18歳で地元シアトルのレーベルであるアジェンダ・レコードからデビュー。初シングル「Daydreaming」、セカンドシングル「MY HEART」はSpotifyなどでユニバーサルミュージックより全世界へ配信中。最新情報はインスタグラム@sophieemmusicにて。

上智大学で運命の出会いを果たした両親に、ソフィア(上智の英語名)と名付けられ、東京で生まれ育った。現在はニックネームのSophieをそのまま芸名とし、シアトルで音楽活動を行う。「東京では公立の小学校に通っていて、3年生くらいからは『外人』と言われていました。でも、それは全然気にならなくて。『ゾフィー』とか『ゾンビ』とか、ほかのあだ名もありましたし(笑)」。みんなを笑わせてハッピーになるような子どもだったと、当時を振り返るSophieさん。むしろ、家族でシアトルに移り住み、現地の中学校に行き始めてからが試練だったと明かす。「英語が全然できなくて、シャイになっていたんです。合唱グループに入部してからは、好きな音楽を通して友人もできました。今では日本語より英語のほうが強いくらい」

これまでDaydreamingとMY HEARTをリリース

これまでリリースされた2曲はバイリンガルで、いずれも英語の歌詞、日本語の歌詞、それぞれのバージョンがあり、不思議と趣が異なる。「声が自然に日本語では明るく、英語では低くなります。話している時もそう。口の開き方やのどの動き方が違うので、歌にも影響するようです」。実は曲作りも、デビュー曲の「Daydreaming」は英語が先行し、セカンドシングル「MY HEART」は日本語を想定した構成になっている。バイリンガルの音楽ならではの面白さだろう。作詞作曲を担当したのは、プロデューサーのゲン・ルービンさん、また彼と共に世界的なヒットを提供してきた妻のシェリルさん。ゲンさんはアメリカ人の父、日本人の母を持ち、グラミー賞受賞経験もある実力者。「今回のデビューは、2017年に近所に住んでいたゲンと知り合ってから『試しに作ってみようか』と始まり、とんとん拍子に話が進んで実現したんです。2018年にはゲンのお母さんの紹介で、今リリースされている2曲をジャパンフェアのステージで初めて歌うことも叶いました」

どこか懐かしさを感じる歌声は、日本の70、80年代ポップスをイメージさせる。「昔の音にとても引かれます。竹内まりやさん、山下達郎さん、カーペンターズからインスピレーションを得ています」。日本語歌詞はオリジナルの英語歌詞をSophieさんが、京都在住のシンガー、由里美奈さんと共に翻訳している。「日本語は美しい。独特の何かを感じます。特に最初に作った『MY HEART』には思い入れがあります。昔恋した人への気持ちを歌っているのですが、胸が締め付けられます。高校時代の失恋の痛みがよみがえりました(笑)」

アイドル歌手になりたいと夢見た子どもの頃から大好きな歌と、今はプロとして向き合うSophieさん。学業との両立は簡単ではないが、「もっと上手くなりたい」と、デビュー後も週1回のボイストレーニング、週1〜3回のレコーディングスタジオ通いを頑張って続ける日々だ。プライベートでは最近、日本の音楽のカバーにも挑戦している。「ゲスの極み乙女。や米津玄師さん、いきものがかり、GreeeeNの曲が好きで、いろいろカバーしたいと思っています。日本で、アメリカで、みんなに気に入ってもらえる音楽を、これから一生をかけて作っていけたらうれしい。音楽を通して、日本に恩返しがしたいんです」と、幼少期を過ごした日本への特別な思いを話しながら笑みがこぼれた。

ハントシンガー 典子
ソイソース編集長。エディター、ライター、翻訳家として日米で18年の編集・執筆経験を持つ。『マガジンアルク』『日本経済新聞』『ESSE オンライン』など掲載媒体多数。2017年から現職。