ワシントン大学メディカルセンターの医師団は、アメリカ北西部で初めての生きた人間から肝臓を取り出して、移植することに成功した。
今月初旬、医師団は提供者ジェイミー・キューズィックさんの肝臓の60%を摘出し、被移植者ケイリン・マクアーヴィンさんの肝臓移植に用いられた。2人はシェルトン市で幼馴染として育ち、マクアーヴィンさんが移植手術が必要だと分かり、キューズィックさんが、マクアーヴィンさんが健康な生活を送れるようにと、移植を決断した。「ケイリンが普通の幸せな生活を送れるようになることだけを願って、移植を決断したのよ。すでに移植の効果は出ているようで、彼女は以前より健康になっているわ」とキューズィックさんは言う。マクアーヴィンさんは、13歳の時代謝異常と診断され、過去10年間入退院を繰り返していた。唯一の治療法は肝移植だったが、彼女は肝移植希望者リストでは緊急度が低く、待機を余儀なくされていた。キューズィックさんは、アメリカ北西部で初となる生体肝移植の提供者に惜しみなく立候補。さらに彼女の肝臓はマクアーヴィンさんの肝臓と適合だった。2人は同じ血液型であるだけでなく、肝臓の詳細分析も適合。なによりキューズィックさんは提供者に必要とされる健康体であった。北西部では、成人から子どもへの生体肝移植実施例はあったが、提供者、被移植者ともに成人なのは初めての試みであった。
同メディカルセンター移植科長のレイス医師は、慈善活動の一環として移植を希望する人のリストは存在しないと強調する。また、レイス医師は「提供者と被移植者との間に何らかの関係があることが理想です。もし、新しい肝臓を必要としている友人、教会仲間、家族などがいれば、生体肝移植も選択肢の一つだと知っておくべきですね」と述べた。キューズィックさんは、生体肝移植の提供者になることを検討する人が増えることを願っている。「回復も含め、これまでの過程はどれも簡単ではなかった。けれどケイリンが退院して家に帰ってきたら、それが今までで最高なことになるわ」とキューズィックさんは語る。
マクアーヴィンさんは、友だち以上の存在であるキューズィックさんのおかげで、ついに学校を卒業して仕事を得られる。マクアーヴィンさんは、「私たちはお互いのことを自分の家族だと思っているの。もしジェイミーに必要なものがあれば、私たちが助けるし、もし私たちに何か必要ならば、ジェイミーが助けてくれるわ」と語る。そして、たとえそれが肝臓であってもだ。「そうね、でも、肝臓はもう分けてあげられないわよ」。キューズィックさんは笑いながらそう答えた。
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