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展覧会「BOOM: Changing Seattle」

シアトルはいま、空前の建築ブーム。2010年以降、なんと毎年平均1万4500人も人口が増え、毎月のように新しいビルが増えている。シアトルは19世紀末のアラスカのゴールドラッシュのおかげで急激に成長した都市だが、現在の成長率はその創成期以来の勢いだという。

SAF( シアトル建築財団)併設のThe Center for Architecture & Design(1010 Western Ave. Seattle, WA 98104)で開催中の展覧会「BOOM: Changing Seattle」は、シアトルの急成長がもたらしているものを振り返る。シアトル市内で最も急激に変化している4つのエリア、バラード、セントラル・ディストリクト、サウスレイクユニオン、そしてサウスシアトルを流れてエリオット湾に注ぐドゥワミッシュ運河流域にスポットを当て、それぞれの地域の過去を振り返り、将来に向けての課題を考える構成。

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もともとは運河沿いの漁師町だったバラードは、近年、ことに若い専門職やファミリーの人口が増え、古い町並みを利用したオシャレなバーやレストラン、ブリュワリー、カフェなどが次々にオープンしているが、生活物価が高くなると同時に昔ながらのブルーカラーの仕事が減っている。
ダウンタウンの近くに位置するセントラル・ディストリクトは、ジミ・ヘンドリクスやクインシー・ジョーンズも通った高校を中心に広がる、絆の強い黒人コミュニティだった。近年の地価高騰でこの地域も激変。黒人経営の銀行や、地域の交流場所だったソウルフードの店もなくなり、活発だったコミュニティが消えつつある。
そして言うまでもなく、ここ数年のシアトルで最も変化が目立つのはサウスレイクユニオン。建設中のアマゾン本社はじめ多くのIT企業や最先端研究機関が集中し、シアトルへの人口流入を牽引する新たな中心街に変わったこのエリアには、ほんの数年前まで残っていた70年代風の低層建築が連なる景色はもうほとんど残っていない。
シアトル港の港湾施設へつながる産業要路として今も活発に利用されているドゥワミッシュ運河は、もとは自然の川だった。20世紀半ばから環境汚染に注目が集まりはじめ、汚染を軽減し、川を浄化して、魚や鳥の住む環境を取り戻すための地道な努力が現在も続けられている。
展覧会には、失われたコミュニティに捧げるビデオ作品や、なくなってしまった街角の風景を記念する品を来場者が置いていく参加型の「メモラビア」コーナーも設けられ、成長を続ける都市が失っていくものに目を向けるよう呼びかける。
会期は8月27日まで。火〜金 10am~6pm、土 1pm~5pm

[たてもの物語]