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新型コロナウイルス感染症と歯科(その2)

健康な歯でスマイルライフ

日本では北海道医療大学歯学部で博士号を取得。米国でもロマリンダ大学歯学部を卒業し、2005年にPAN-PACIFIC DENTISTRY(パンパシフィック歯科医院)を開業した中出 修先生に、アメリカで生活する日本人へ向けて歯や口腔について、説明していただきます。

新型コロナウイルス感染症と歯科(その2)

新型コロナウイルス感染症は欧米でも猛威を振るい、大混乱の日々となっています。新たな感染症ひとつで、ここまで全世界が激変するとは予想だにしていなかったのではないでしょうか。

影響は歯科医の仕事にも及び、3月19日より2カ月間、緊急の歯科治療(痛み、感染を伴い、3〜6カ月程度治療できないと身体に問題が起こると思われるケース)を除いて、クリーニングなどルーティンの口腔ケアは当面行わないよう、ワシントン州から命令が出されています。医療機関で感染防護のためのマスク、手袋、ガウンなどが不足しており、その対策としての措置ですが、不便をおかけすることがあるかもしれません。今回は、新型コロナウイルス感染症と歯科に関して、前回に引き続き書いていきたいと思います。

イブプロフェンで症状が悪化する?

最近、イブプロフェン(Ibuprofen、Advil、Motrin)についての情報が錯そうしています。国際保健機関(WHO)は、新型コロナウイルス感染症では症状を悪化させる可能性があるため、イブプロフェン服用は控えるよう呼びかけていましたが、後に十分なエビデンスが得られていないとし、控える勧告はしないと方針を変えました。いずれにせよ副作用はあるので、解熱目的であればアセトアミノフェンを使ったほうが安全だと思われます。

新型コロナウイルスが恐れられている理由

ちょっとタチの悪い風邪やインフルエンザの一種くらいに捉えるなら、確かに健康な人にとっては1、2週間で治る疾患と言え、何も恐れることはないのかもしれません。しかし、何が怖いかと言えば、(1)未知の疾患であること、(2)高齢者や基礎疾患を持つ人は肺炎に移行し、重篤化しやすいこと、(3)まだ有効な薬が見つかっていないこと、(4)予防のワクチンが見つかっていないことだと思います。感染力がインフルエンザよりも強いと思われますので、このウイルスが地球上から完全に消滅することは難しく、インフルエンザのように来年以降も感染は小規模で起こる可能性が高いと言われています。

他の呼吸器系ウイルス疾患のように、高温多湿に弱い傾向があるかもしれないので(否定的意見も多い)、地域によっては夏にかけてウイルスの勢力が弱まる可能性も考えられます(まだ確証は得られておらず、冷房により高温多湿の効果がなくなる恐れも)。何はともあれ、1日も早い終息が望まれるのは間違いありません。

緊急の場合、歯科治療はどうする?

こんな状況下でも、歯が痛い、歯肉が腫れた、クラウンが壊れたなど、困ったことは起きるものです。このような場合は、かかりつけの歯科医院に相談してください。臨時休業中にどのような応対ができるかは歯科医院にもよりますが、まずは希望を伝えましょう。また、緊急の歯科受診とならないように、日頃の歯ブラシ、フロスなど家庭での口腔ケアはいつも以上に気を付けたいものです。