両言語をバランス良く使う環境に身を置く
日英デュアル・ランゲ ージ・イマージョン・プログラム
シアトルのマクドナルド・インターナショナル小学校とジョン・スタンフォード・インターナショナル小学校が実施する「日英デュアル・ランゲージ・イマージョン・プログラム」では、公立の小学校でありながら日英両方の言語で授業が行われています。また、今年からベルビューのベネット小学校でも同プログラムが開始され、バイリンガル教育の広がりに拍車がかかっています。シアトルの2校に通う子どもの保護者に、学校の様子について詳しく聞きました。
学校名:McDonald International Elementary
家庭内での言語環境:主に日本語
当初は現地校に入学をさせるつもりで、英語力が心許なかった双子の子どもたちに英会話の家庭教師に来てもらっていました。しかし、夫の強い勧めでこのプログラムに応募することになり、その後はトントン拍子で抽選に通り入学することに。学校では、ジブリ映画『トトロ』やNHK教育番組『ピタゴラスイッチ』を観たり、北原白秋の詩を音読したりなど日本的な要素を取り入れた宿題が出されます。周りの友だちも一緒にやっていることがモチベーションになるようです。ただ、日本語を話さない子どもや保護者にはチャレンジングな環境かもしれません。卒業後は学区内の学校のほか、日本語学習を継続できるハミルトン・インターナショナル・ミドルスクールとリンカーン・ハイスクールへも進学可能で、選択肢が増えることもメリットです。日本的なことを肯定してくれる環境で、日本人としてのアイデンティティーをカッコいいと誇りに思い、自分らしくのびのびと成長する姿は親として嬉しく思います。
学校名:McDonald International Elementary
家庭内での言語環境:日英半々
児童ひとりひとりをしっかりとサポートする温かい雰囲気の学校です。語学や学力に不安があっても、それぞれの理解度に応じてグループ分けをし、レベル別に宿題を出すなど、丁寧に寄り添ってくれるところが魅力です。また、異文化を自然に受け入れる子どもが多いことも安心できる点です。ささやかなことですが、おにぎりの海苔を周りの子どもに気味悪がられることを理由にサンドイッチを持たせたりする必要がなく、日本の習慣をそのまま続けられる環境もありがたいです。児童全員が大掃除などで役割を持ち、クラスの一員として学校の役に立っていることを実感することができます。先生方が児童ひとりひとりをよく見てくれている点も心強いです。学校からのお便りは英日両方で配信され、先生や日本人のママ友に相談しやすい環境でもあります。異文化に寛容な親同士のつながりが持てて小学校のコミュニティーをとても楽しんでいます。
学校名:John Stanford International Elementary
家庭内での言語環境:日本語のみ
学校名:John Stanford International Elementary
家庭内での言語環境:どちらかというと英語
日本人であることをプラスにできるプログラムだと思い選びました。日本語プログラムは当時それほど人気がなく、学区内に引っ越したこともあり入学はスムーズに決まりました。スペイン語の方は人気で抽選があったと記憶しています。
現在、長女は語学が好きということもあり、日本の大学に在籍し韓国に留学中。次女は英語の方が強いものの、日本の漫画やバラエティー番組を楽しむなど、日英両言語をバランスよく活用しています。英語のみならず他言語にも触れる生活を送る娘たちを見ると、良い環境だったと感じます。もしイマージョン・プログラムを受けるチャンスがあるのであれば、検討してみるのは良いかも知れません。ただし、子どもにも得意不得意があるので、特性を考慮しながら進めることも大切だと思います。学校名:McDonald International Elementary
家庭内での言語環境:日英半々
定員やクラス数に変動はありますが、現在、1学年に3クラス、各クラス約26人が在籍し、日本語とスペイン語のプログラムに分かれています。例年、定員を超える応募があるため抽選が行われ、倍率が10倍近くになる年も。兄弟がすでにプログラムを受けている場合や母国語が日本語の児童、学区内に住んでいる児童は優先的に入学できますが、逆に定員割れの場合は学区外や英語のみを話す子どもも入学できます。定員に空きがでると、日本語が話せれば学年を問わず編入が可能。日本語が話せない場合は、キンダーから2年生までは抽選が行われ編入のチャンスがありますが、それ以上の学年は授業を受けることが難しくなるため受け付けていないようです。英語が母国語の友だちと一緒に日本語で学ぶことで、日本語力アップを実感しただけでなく、自己肯定感やコミュニケーション力も育ち自信を持てるようになりました。