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ひまわり幼稚園に聞く:情報過多のバイリンガル教育?どう対処すべき?

シアトル近郊の専門家たちが、悩み多きバイリンガル子育てについて回答。子どもと楽しむ、子育てのヒント。

 

今回のテーマ

Q. バイリンガル教育の情報が多過ぎて不安になります。

A. 家族と普段から会話を重ね、自ら考え、信念に忠実でいることが大切です。

 

今と昔、とまでは言わずとも、ひまわり幼稚園を始めた16年前と比べても、とても丁寧に子育てをされている方が多いと感じます。きっと情報がふんだんにあり、選択肢も多いからかなと思っています。いろんな形で入ってくる情報を自分なりに汲み取っていく、それだけで「子どもの育て方」に知らず知らず反映していることでしょう。それは良くも悪くも、発達した情報社会のおかげ。取り巻く環境の変化がどんどん加速していく中、戸惑いを感じる方も多いのではないでしょうか。

フェイスブックには似通った子育てグループが無数にあり、インスタグラムを覗くと見事に完成した漢字の宿題の写真がアップされています。そしてYouTubeでは、「バイリンガル教育」と検索すると驚くほどたくさんヒットします。根拠のない不安に襲われたり、自分の立ち位置がわからなくなったり、自分やパートナーとの信念が揺らいでしまうこともあるかもしれません。

ここ数年、ワシントン州では、日本語で学べる教育機関も格段に増えました。たくさんの学校を見学に行ったり、ネットやSNSでの情報収集に奔走したりする方は多いでしょう。子どものためにいろんなことを悩み、調べ、また悩み、というのは、親として当然のことなのかもしれません。しかし、結局のところ、どのように選べば良いのでしょうか。

まずは、日常の会話の中で、家族とバイリンガル教育について語ることです。日本語がわからないパートナーだと疎外感を感じている場合もありますし、義理の家族の理解が得られないというケースもあるでしょう。日本人家庭だと、小学校以降で英語に苦労するのではないか、との心配も出てきます。あるいは、スポーツとの優先順位で意見が合わないかもしれません。何がいちばん大切なのかは、家庭によってそれぞれ違うということを認識しつつ、考え、コミュニケー ションを図ることが重要です。また、ママ友だちと話したり情報交換をしたりすることも、もちろん有益です。ただ、状況の違う他の家庭と比べるのは意味がないと心に留めておくべきです。

よく園の保護者から、「ふたりのバイリンガルを育て上げた経験からアドバイスはないか」と聞かれます。私の大好きな小児科医で著作も多い、故・毛利子来(もうりたねき)先生の言葉を使わせてもらうと、「万人に共通する子育ての答えはありません」が、その返事になります。情報を参考にしながらも、自分でしっかり考えることがいちばん大切。私はそう思います。

一般的な子育ても、バイリンガル教育に関しても同じです。周りやSNSに惑わされず、きちんと考えてこそ、丁寧な子育てと言えるでしょう。ママ友だちと同じ考えでなくてもいいんです。子どもや家族、環境に合ったやり方が、きっと見つかります。

最後に「迷った時の認識と判断の仕方」を記しておきますので、バイリンガル教育を考える時の知恵として、ぜひ参考にしてみてください。

迷った時の認識と判断の仕方

  1. カンを大切にする
  2. 常識を重んじる
  3. 自分の性格と生活にマッチさせる
  4. 子どもの個性に応じる
  5. 失敗を恐れない
  6. 様子を見る
  7. 理想は高く持たない
  8. 子どもに献身しない
  9. 助けを求める
  10. 社会的な行動をする

(毛利子来著『よい親でなくとも子は育つ』より)

 

教えてくれたのは

ひまわり幼稚園
ホール和代さん

ひまわり幼稚園・日本語学校ディレクター。運営理念に「日本人コミュニティーに貢献する場」を掲げ、5・6 月は憩いの場、情報交換の場として親子クラスを無料開放中。2003年創設のひまわり幼稚園一期、三期卒園生の自身の子どもたちは現在、州外の大学に通う。第2の人生を謳歌すべく、やりたいことを思案中。

◼️Himawari Japanese Language School
25701 14th Pl. S., Des Moines, WA 98023
☎︎ 253-670-0899
www.himawariseattle.com