1年生からの新入学と途中からの編入学では手続きや準備のほか、選択肢も大きく変わってくる。公立の小中学校では、新入学・編入学共に住民票を登録した地域の教育委員会による一定の手続きを受けることで入学できる。一方、私立・国立大学附属の小中学校と国公私立の高等学校は、新入学試験のために早めの対策と帰国が必要になる。さらに編入学では募集人数が少ない、あるいは欠員がある場合のみ募集されるので、計画を十分に立てることが重要だ。
一部の公立高等学校や帰国子女を多く受け入れる学校では、随時編入学を受け入れるなど柔軟に対応している。編入学試験は各学期末の実施が一般的。学校を決め、受験の出願手続きから入学までは、約3カ月から半年を要する。編入学を受け付けていない志望校の新入学に合わせて帰国することもできる。
出願書類や書式は各学校により異なるが、在留証明書、在学証明書、成績証明書などを用意する必要がある。編入学の場合、シアトル日本語補習学校や土曜学校などに通っているなら、使用している教材が同じであるかも確認しておきたい。志望校の見学、模試の受験などを希望するのであれば、スケジュールを約2年前から把握することが理想だ。
海外滞在の長い子どもにとって、日本への移住は新たな異文化社会での生活の始まり。日本特有の習慣にカルチャーショックを受け、適応に時間がかることは大いに考えられる。心配事を最小限にするためにも、学校を選ぶ際は日本語の補習や教員の生活指導など、フォロー体制が整っているかに注目しよう。語学力など、海外生活で培った能力を伸ばせるカリキュラムのある学校も選択肢のひとつ。特に帰国子女を多く受け入れる学校では、国際交流、留学制度などのグローバルな教育を実施している。
何より、子どもの意思を尊重することが大切なので、帰国子女であるとか、私立、国立なら安全だとか、ひとつの考えに固執せず、しっかりと話し合いを。何が子どもにとってベストなのかを見極めよう。編入・入学先での学校生活を楽しめていないようであれば、思い切って転校やアメリカに戻るオプションを提案するなど、柔軟な対応が求められる。
(参考:海外子女教育振興財団ホームページ www.joes.or.jp)