日帰りでカナダのブリティッシュコロンビア州バンクーバーへ
バンクーバーはシアトルから一番手っ取り早く行ける外国。パスポートと信頼できる車さえあれば、手軽に国境を越えて異国情緒が味わえ、小旅行として最高のデスティネーションだ。観光地はたくさんあるが、今回は日帰りで行けるバンクーバーの、スタンレーパーク(Stanley Park)、ロブソンストリート(Robson Street)、そしてグラウスマウンテン(Grouse Mountain)の夜景という行程で、天気のいい日を選んで出発した。
カナダ国境を越えるとすぐ両替所があるので、ここで米ドルをルーニーズ(Loonies)というカナダドルの硬貨に両替。駐車料金などルーニーズを持っているとなにかと便利なのだ。それに両替所にはトイレがあり、観光案内パンフレットや地図も入手できる。国境を越えると道路の制限速度がメートル法に変わった。50という標識は時速50キロメートルのことで時速50マイルではないので要注意。
市民の憩いの場、スタンレーパーク
まずは名所スタンレーパークへ。バンクーバー市街地北西部の海に面した巨大な公園で、ダウンタウンから車で10 分ほどのところ。この公園には観光客はもちろん地元住民まで、すべての人を満足させる何かがある。トーテムポールが並んでいるところに車を停めて、シーウォールと呼ばれる遊歩道を散歩。ほぼ全ルートが海に面しており、一周6 マイルのコースはなかなかいい運動になった。歩いている人のほかにも、ジョギングをしている人やベンチに座って談話している人など、それぞれに公園を楽しんでいる。歩道と自転車道が分かれているので、公園の入り口で自転車を借りてサイクリングをしている観光客も多い。土産物屋、カフェ、そしてトイレなどがほどよい間隔で設置されて、利用者にはとても快適だ。歩きたくない人はバスや馬車でも回れるし、水族館や植物園、公園の奥の丘の上には高級レストランもあり、テニスやポロ、夏はビーチでの海水浴やプールと、訪問者のあらゆる趣味に合わせて、きめの細かい対応をしている。
沖を航行するたくさんの貨物船を眺めながら気持ちよく歩いていると、湾の対岸を結ぶライオンズゲートブリッジが見えてきた。カナダグースの群れに混じって、アザラシが水面から顔を覗かせたり引っ込めたりして、写真撮影する観光客をからかっているような姿が愛らしい。ゆっくり景観を楽しんでいるといつの間にか3 時間経っていた。そろそろ食事をと、公園を引き上げてダウンタウンへ。
ロブソンストリートは食の宝庫
目抜き通りのロブソンストリートは食べ物屋が多いことから、一番の賑わいを見せている場所だ。ラーメンの山頭火を始め、日本食レストランは山ほどあるうえ、日本のコンビニまであるので、日本人には本当に嬉しい。
ショップはアパレル、アクセサリー系が主流で、アメリカでもおなじみのカジュアルブランドに混じってカナダ発のブランドショップが軒を並べている。世界中から観光客が集まり、多種多様の人々が行き交う。個性的な人が多いので、ついピープルウォッチングをしてしまう場所だ。
ランチは、以前地元の人に教えてもらったステフォ(Stepho’s)というギリシャ料理レストランでとることにした。ここは、店の前に一日中長蛇の列ができているほど超人気。もともとはデイビーストリートの名物だったが、最近、2号店をロブソンストリートに出店した。名物メニューはカラマリフライとロースト・ラム。チキンやビーフスブラキもおいしい。各ディッシュにピラフ、ローストポテト、グリークサラダがついて約10カナダドルで食べられて超お得だし、サービスもテキパキとして速いので、列が長くてもそれほど待たなくていいのが人気の秘密なのかもしれない。
グラウスマウンテンから夕暮れの街と太平洋を一望
食後は、夕暮れの街の景色を楽しむためにグラウスマウンテンに登った。夏はハイキングでも登れるが、冬はゴンドラを使う。グラウスマウンテンは超アーバンなスキー場。初級から上級まで様々な難易度のコースが揃っていて、太平洋とダウンタウンのネオンに向かって滑降できるというかなりオツなスキー場だ。スキー板やスノーボードだけでなくウェアまで、すべて山の上でレンタルできるので、観光客にも人気が高い。頂上にはスケートリンクもある。
スキーヤーに混じってゴンドラに乗り込むと、10分ほどで急激に高度を上げて標高1200 メートルの山頂に辿り着いた。終着駅には展望台やレストラン、フードコートがあり、コーヒーを飲みながら夕焼けで真っ赤に染まった太平洋とバンクーバーの街灯りの絶景を眺め、休日の満足感にひたった。
バンクーバーはシアトルよりも数倍大きく、ローカルの人種の多様性にはいつ行っても驚かされる。いろいろな文化がそれなりの居場所を見つけて共存している雑居性が、バンクーバーの大きな魅力のようだ。
(文・写真:今井昌子)