インターナショナル地区のサウスジャクソン通りに面するビルの2 階に、日蓮宗寺院円経寺(えんきょうじ)がある。住職はシダーマン観心上人。4 年半前に現在地に引っ越し、国籍を問わないオープンな仏教寺院として多くの信徒から慕われている。
シダーマン上人と日本の関係は、16 歳で合気道に魅せられ日本の土を踏んで以来。その時に禅僧と暮らす機会があり、その経験がシダーマンさんを仏教に引き寄せた。18歳から21歳までは台湾の僧院で天台宗や真言密教を学び、その後トロントの寺院で日蓮宗に改宗し、佐賀県の寺院を往復して10年間研修した。現在は円経寺の運営とシアトル警察の教戒師を兼任する仏教僧侶として活動している。
円経寺の年末行事は、バラードで20 日に行われる、周囲に御幣を巡らした餅つきから始まる。多国籍の信徒が多いことから、餅の上に載せる材料のレシピを競う「トッピングコンテスト」など楽しい企画があるのがこのお寺の魅力。大晦日は午後5 時に開門。6 時から大黒様に扮したシダーマンさんと恵比寿様のコスチュームに身を包んだ信徒が、打出の小槌を片手に子どもたちにギフトを持って現れる、いわば仏教版サンタクロースが登場する。アメリカの慣習を用いて、恵比寿大黒の宗教上の役割とご利益をわかりやすく教える工夫を凝らしており、革新的であると同時にフレンドリーな住職さんの性格が滲み出ている。
その後、新しく仏に帰依した信徒のための儀式が行われ、ポットラックの忘年会が始まる。
9時に除夜釜と呼ばれる今年最後の茶席が設けられ、シダーマンさんのお点前で抹茶と和菓子が振舞われる。11 時に最後の法要があり、11 時40 分から除夜の鐘が鳴らされ旧年が幕を閉じる。3 が日は元旦の法要(1pm)に続き、初釜の茶席、お屠蘇、書初めなどイベントが盛りだくさん。家内安全など、用途別のお守りを販売。お屠蘇はノンアルコールも用意して、幅広い年齢層やライフスタイルの参詣者に対応。その後、獅子舞で近所の商店街を練り歩き、幸運招来と厄病退治を祈願する。年末年始の行事は信徒でなくても参加できるので、気軽に立ち寄ってみるといい。 「宗教と言うより、人の言葉で広がる輪の構築を大切にしています」というシダーマンさん。忘れかけていたコミュニティの温かさを呼び戻してくれる。
12月31日 開門 5pm 大黒様ギフト交換 6pm 除夜釜 9pm 法要 11pm 除夜の鐘 11:40pm~
1月1日~3日 初法要 1pm
Choeizan Enkyoji Seattle Nichiren Buddhist
Temple
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