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PSPINC (Pacific Software Publishing, Inc.)

1987年、東西冷戦もまだ終結していなかった時代にPSPINC(以下、PSP)は、内倉憲一現会長によって、シアトル、マーサーアイランドのアパートの一室で設立された。ソフトウェアの輸出業から始まったPSPは、日本語ソフトウェア出版での成功を経て、96年からはインターネット事業に着手。現在はアプリケーション開発も手掛け、順調に成長を続けている。ベルビューにある同社の本社オフィスを訪ねて内倉会長に話を聞いた。

創業当時の若々しい内倉憲一さん
創業当時の若々しい内倉憲一さん

コンピューターとの出会い、就職そして創業
高校卒業後、カリフォルニアのアズサパシフィック大学に進学した内倉さんは、銀行のコンピューター部のトップでもあった大学のカウンセラーに「君はコンピューターをやりなさい」と言われ、訳も分からずにコンピューターの勉強を始めた。当時コンピューターと言えば、空調の効いた部屋に据えられた巨大なコンピューターを皆でシェアして使っていた時代で、パソコンなど想像もできなかった。
「後にパソコンが世の中に出てきた時には、自分だけのコンピューターというのがすごく新鮮で、これからはパソコンの時代だと確信しました」
大学卒業後は一旦日本に戻り、コンピューターの会社に就職。85年に、アメリカのコンピューターソフトウェアを日本に輸出するための駐在員としてシアトルに赴任。2年後に会社がアメリカから撤退することになり「当時27歳だったし、失敗してもやり直しがきくと思って」、シアトルで独立することを決めた。
事業の変遷 ~ソフトウエアの輸出-出版-インターネット事業~事業内容は前の会社の仕事を引き継いだが、当時はインターネットというものはなく、自分の部屋から日本の会社にダイレクトメールを郵送したり、電話をかけて売り込みをした。単に売るだけではなく、ソフトウェアを英語から日本語に書き換えるローカライゼーションもこの時期たくさん手がける。競合相手が少なかったせいか、多くの会社と提携できた。そして大成功したのが日本語変換ソフトの販売だった。「当時は英語のWindowsには日本語の機能もなく、もちろんフォントもなかったので、日本語のフォントをインストールするソフトを出しました」。その頃カナダに、中国語やアジアの言語が使えるソフトを製作販売していた中国の会社があり、そこと契約して日本語だけのソフトにしてアメリカで安く売り出したら大当たり。「1 年間に600 本売れたらいいと思っていたのが、2 週間で売り切れてしまったんです」
90 年頃になると、扱うソフトがゲーム中心に移行した。「おかげで日本では、PSP はゲーム会社と思っている方が多かったようです。でもアメリカでは日本語入力機能をパッケージにして売っていたため、日本語ソフトの会社だと思われていました」
事業は順調だったが、日本語のソフトを改造してパッケージし、マーケティングして販売するまで全て自分たちでやっているのに、その売り上げの何十パーセントかはオリジナルの製作者のものになる。「それが悔しくて、自分で何かやろうと思うようになったんです」。ちょうどインターネットが普及し始めた頃だったが「インターネットについて何も知らなかったので、会社を(現社長の)中村に任せて、数カ月部屋にこもって研究した末、インターネット・ホスティング事業を始めることにしたんです」。1996 年だった。

LAで開催したセミナー「売り上げアップのためのインターネットマーケティング戦略」
LAで開催したセミナー売り上げアップのためのインターネットマーケティング戦略

これからはアプリケーション ~安くて操作の簡単なアプリ開発~
以後、会社は順調に伸び続けており、現在ではドメインのホスティングの他に、コンテンツ管理システムを使ったホームページ作成、メルマガ配信、顧客管理システムなどのビジネスに必要なインターネットツールを提供。日米合わせて約4万社を顧客に持つ。
「もうコンピューターは進化が止まった感じ。タブレットもなくなるでしょう。これからは携帯電話だと思います」と言い、PSPの事業の中心はアプリケーション開発に置いているそうだ。「インターネット、クラウド、ブラウザというのは一般でいうインフラなんですよ。そしてアプリケーションは用途。例えば、税理士さんには会計ソフトというように、今やっている『何か』を、より簡単に早く安く出来るようにするためのものです」。その「何か」を見つけ出し、それに合ったアプリケーションを作っていくのがこれからのPSPの仕事になるという。「インターネット業界は値段が安くて使いやすくないとお客さんに来てもらえない。だから、いかに説明の必要がなく、操作が簡単なものを作れるかが課題です」
PSP ではすでに数多くのアプリケーションを出しているが、その中にはワープロが打てればホームページが作れる、というところまで使いやすく操作が簡単なツールも。これらについては、同社オフィスで毎月、定期的に無料セミナーを開いている。スモールビジネスのオーナーや、趣味のウェブサイトを作りたい人などに最適だそうだ。「最初は無料(フリー)で作ってみて、使っているうちに他の機能もつけたいな、と思われた場合には、その機能を課金(プレミアム)で加えるという、いわゆるフリーミアムサービスも取り入れています」

毎月PSPで実施される和気あいあいとしたカンパニーランチ
毎月PSPで実施される和気あいあいとしたカンパニーランチ

起業家として ~ダメだと思ったら諦める~
「物が売れていて会社は順調に回っているんだけど新しいものが出てこない時とか、社員が現状に満足している時、というのが私にとって嫌な時期です」と言う。2009 年、内倉さんは社長職を中村真弓さんに引き渡し、会長職についた。「社長を辞めたのは次を見たいから」。会社としては、世の中の動きの先を読んでこれから何をするのかを考える人がいなくてはならないが、「次のことを考える人って金食い虫なんですね。お金を使って結果が出ないことが多いので。それを社員にやらせるのは難しい」。今、自身で作っているものがいくつかあるそうだ。「8 割失敗するかな。失敗してもいいんです、やってみないと分からないから」
今はお金を集めて商品を作るのではなく、商品を作ってからお金を集める時代。「そしてダメだと思ったら諦めることが大切です。それが出来ないと起業家にはなれない。失敗するのは当たり前、『当たったらラッキー!』でやらないといけません」
PSPが作って来たもののうち90%はゴミ箱行きの運命だったという。一つのものを作ってそれで成功できる時代ではない。アプリケーションをどれだけ短期で市場に出せるかが勝負だ。

中村社長の愛犬タイニーを抱く内倉会長
中村社長の愛犬タイニーを抱く内倉会長

「100 個出せば1 個か2 個当たるでしょう。100 個を出せる力というのは、人より安く。安くとは人より早く短期に作れるということです」。PSPに「新商品の開発に3カ月以上使ってはいけない」というポリシーがあるのはそのためだ。
同社には28 年の間に様々な顧客との出会いがあり、経理、電話、オフィス管理、下水工事、銀行、ホームセキュリティなど、そこで築き上げた広範にわたる業種や業務のノウハウがある。「起業したいけれどどうしたらいいのかと迷われた時は私たちに相談してみてください。とにかく一度話してみたらいいんじゃないの、という会社だと思うんです。いいアイデアが出て来ると思います」

自分でつくろう! ホームページとメルマガ
PSPINC 無料日本語セミナー

メルマガ作成&送信
NewsMail で、専門知識がなくてもデザインを選び、文字と写真を入力し、セミナーの最後には メルマガ第1 号を送信
5 月20 日( 水) 午後2 時〜4 時
* 当日は必ずご自身のコンピューターをお持ちください。

ホームページ作成
WebdeXpress で、専門知識がなくても2 時間で4ページのホームページ作成
5 月21 日(木) 午後2 時~ 4 時
* 当日は必ずご自身のコンピューターをお持ちください。

場所:PSPINC ベルビュー本社
1404 140th PL NE Bellevue
フリーパーキング完備
申込:お名前、会社名及び電話番号を添えて下記まで
seminar@pspinc.com
☎ 425-957-0808
担当:緑川