夏だからこそ見たい映画ってありませんか? 編集部スタッフがそれぞれお気に入りの夏映画をジャンル別に16本選んでみました。さらに、映画評論家、土井由美さんおすすめの「夏の映画」4本ご紹介。
- 時代を超えた名作
- 青春の1ページ
- 親と子の愛の形
- 日本のアニメ ・諦めないで ・アクションでスカッと!
- 暑い日にはホラーを
- SFワールド
時代を越えた名作
New Cinema Paradiso (邦題:ニュー・シネマ・パラダイス)
監督:ジュゼッペ・トルナトーレ 公開:1988年
ローマで映画人として成功したサルヴァトーレが、故郷の映画技師アルフレードの死をきっかけに、自らの幼少期・青年期を懐古する物語。フィルム映画の時代へ郷愁を誘う内容の素晴らしさもさることながら、エンニオ・モリコーネ作曲の音楽がすばらしい。主題曲 『Cinema Paradiso』は各国のCMに使用され、様々なアーティストにカバーされるなど、広く親しまれている。映画を見る時間のない人は、音楽だけでも聞いてみて。
青春の1ページ
夏の暑さも吹き飛ばす痛快青春コメディー。イタズラの天才・ママチャリ率いる高校生7人組と、やられたらやり返すがポリシーの駐在さんが、1970年代の田舎町を舞台に繰り広げるイタズラ戦争。友情、恋、そしてイタズラ。あちこちに笑いが散りばめられていて、くだらないがつい笑ってしまう。誰もが経験した青春の1ページを笑いいっぱいで鮮やかに描き出している。目に映るもの全てが輝いていたあの頃に連れ戻してくれる爽やかな作品だ。
台湾・フランス合作映画。勝気な女子高生モンは、親友ユエチェンに頼まれて、仕方なく水泳部の男の子チャンにラブレターを渡す。だがチャンはユエチェンではなくモンに恋をしてしまう。高校生の少年少女たちの淡く切ない恋愛を描いた青春映画。夏の風を運んでくる青春を思わせ、外国の作品なのにどこか懐かしい気持ちにさせられる。主人公たちが台湾の街並みを自転車で駆け抜けるシーンが美しい。
親と子の愛の形
知的障害を持つサムは、幼い娘、ルーシーとの2人暮らし。7歳程度の知能しか持ち合わせていないサムは、周囲の手を借りながらも愛情いっぱいにルーシーを育てる。しかし、ルーシーは成長するとともに、自分の父親が他の人とは違うことに気付き……。「ルーシーが8歳になった時、あなたの知能を超えた時、どうするのですか?」親子の形や愛情に障害など関係ないと教えてくれる作品。涙で字幕が読めなくなるので要注意。
舞台は1989年の東ドイツ。家族を捨てて1人西ドイツに亡命した父親の反動で、アレックスの母親は献身的な共産 主義者となる。そんな中、アレックスは母親に反発するように、反政府派のデモに参加。それを目撃した母親が心臓発作で倒れてしまう……。ベルリンの壁崩壊後に、あの手この手を使って母親を守ろうとするアレックスの姿はおかしくも心温まる。ドイツ再統一と、それがもたらした様々な変化を通して見る家族愛の物語。
日本のアニメ
インターネットが高度に発達した日本が舞台。男子高校生、小磯健二は、あこがれの先輩、篠原夏希とその家族と協力して、人工知能に支配され混乱した世界を救うために奮闘する。突飛に聞こえるが、テーマは人と人とのつながり。20人を超える個性豊かな登場人物の中でも注目なのは、夏希の祖母で90歳になる栄おばあちゃん。カリスマ性があり、騒動の中でも冷静に人を励まし事態の収束をはかる。協力し合うことの大切さを教 えてくれる映画。
交通事故をきっかけに、時間を飛び越え過去に戻ることができる能力を手に入れた女子高生・真琴。妹に食べられたプリンを食べるため、テストで満点を取るため、カラオケで喉が潰れるまで歌うため……。些細なことに能力を使う真琴と一緒に時間を越えていくうちに、きっとあなたも本当に大切なものに気づくだろう。「Time waits for no one」時間は待ってくれないし過去は戻ってこない。儚いから美しい、そんな青春が不思議な世界観で描かれた等身大の夏。
諦めないで
ホームセンターで長年働くラリーは「優秀社員」に何度も選ばれるほどの優れた店員。そんな彼がある日突然、大卒ではないという理由で解雇されてしまう。学歴のない中年のおじさんに簡単に再就職先が見つかるはずもなく……。「いい人」という言葉がピッタリの主人公が、年齢という壁を乗り越えて奮闘する姿を、純粋に応援したくなる。何かを学んだり、勉強を始めるのに遅すぎることはない!と今一度思い出させてくれる。
単調で孤独な日々を送っていたIRSの監査役、ハロルド・クリック。ある日、いつものように出勤の準備をしている と、どこからともなく女性の声が聞こえてくる。わけが分からないハロルドだが、その声はまるでナレーションのように彼の行動や考えを語る……。コメディア ンとして知られるウィル・フェレルの、役者の面をたっぷり見ることができる作品。一日一日を、自分と自分の愛する人のために生きるって大切だなと思わされる。
アクションでスカッと!
「メディア良化法」で自由に本を読めなくなった日本が舞台。女子高生、郁(榮倉奈々)はある日、「良化隊」の検閲 に遭遇したが、自衛組織「図書隊」の堂上(岡田准一)に救われる。それをきっかけに郁は図書隊に入隊し、堂上のもとでメディア良化委員会と対峙していくことになる。ラブコメ要素もありながら、ハリウッド顔負けの岡田准一の生身のアクションシーンを中心に本格的な戦闘シーンから目が離せない!
FBI捜査官のアーチャー(ニコラス・ケイジ)は、最愛の息子を殺した凶悪テロリスト、トロイ(ジョン・トラボルタ)を逮捕することに成功するが、トロイがロサンゼルスのどこかに爆弾を仕掛けたことが判明。場所を聞こうにもトロイは植物状態。そこで、アーチャーにトロイの顔を移植して、トロイの弟から爆弾の設置場所を聞き出すことになる。息をつく暇もないほどのアクションシーンの連発。見終わった後の爽快感は格別!
暑い日にはホラーを
ジョシュとルネの夫婦は3人の子どもと共に引っ越したばかりの新居で、屋根裏から物音がするなど、怪奇現象に見舞われる。ある日長男のダルトンがはしごから落ちて昏睡状態に。ダルトンの身体に異常はなく昏睡の原因ははっきりしない。 家が呪われていると考えた夫妻は別の家に引っ越すのだが、怪奇現象はなくならず、ついに霊媒師に依頼……。霊媒師が登場したあたりで少しコメディっぽくなるのでちょっと笑えるが、締めはしっかりホラーなのでご安心を。
一発屋の作家エリソンは、心機一転、家族と共に新しい土地での生活をスタートさせる。彼は、以前その家で殺人事件が起こっていた事を家族に隠していた。その事件の真相を調べて本を書き、作家として再起を果たそうとしていたのだ。ある日、屋根裏部屋で5本の8ミリフィルムを見つけた。見ると、フィルムごとにそれぞれ異なる家族の惨殺シーンが映っていた……。木に人間が4人も吊るされているシーンから始まり、冒頭から怖い。
SFワールド
舞台は2054年、ワシントンDC。3人の予知能力を持った人間が近未来の犯行を事前に予知し犯人特定ができるため、犯罪がゼロの世界。ジョン・アンダートン(トム・クルーズ)は犯罪予知チームのリーダーとして働いていた。ところがある日、ジョンが次に起こる殺人事件の犯人だと予知された。事件から逃れるため逃亡するジョン。予知は実現するのか? テンポのいい展開に時間を忘れるほど夢中になる。テレビドラマ版が今秋放送開始。
シアトルが舞台。男子高校生3人が超能力を手に入れることで日常が劇的に変わっていく様子が描かれている。女の子のスカートをめくったり、子どもを驚かせたりと、最初はいかにも高校生らしいいたずらに利用していた超能力が、徐々にパワーを増してエスカレートしていく様子がリアル! 最終的にはスペースニードルを背景にシアトルの街が破壊されていく……。誰もが憧れた超能力、実際に手にしたらどうなる? そんな素朴な疑問の答えの一つがここに。