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『Man From Reno(マンフロムリノ)』監督 デイブ・ボイル さん

第20回ロサンゼルス映画祭で、コンペティション部門のグランプリを受賞した『Man From Reno(マンフロムリノ)』が4月30日〜5月4日までシアトルで上映される。同作品はデイブ・ボイル監督初のサスペンス作品。ヒロインを藤谷文子が、謎の男アキラを北村一輝が演じている。上映に先駆け、ボイル監督にインタビューした。

ManFromReno_3Q:なぜ、映画監督を志そうと思ったのですか?
子どもの頃から映画が大好きで、10 代になってからは外国映画も見るようになりました。その頃見た日本映画では、黒澤明監督の『蜘蛛巣城』と『天国と地獄』が特に印象的でしたね。僕も彼のように独特で素敵な映画を作れたらいいなと思い、映画監督になろうと決心しました。

Q:この映画には日本語と英語の2つのプロットラインがあったり、監督も日本語が堪能とのことですが、監督と日本との関係について教えてください。
日本に住んだことはありませんが、19 歳のときにモルモン教の宣教師としてオーストラリアに赴任し、日本人コミュニティーで2 年間ボランティア活動をしました。赴任前に少し日本語の勉強はしていましたが、ボランティア活動のおかげで日本語も上達しましたし、日本人や日本文化に対しての興味と愛情も芽生えました。その後アメリカに戻り、大学では日本語を専攻しました。

Q:監督の過去の作品はコメディーが多いのですが、今回この映画を撮ることになったきっかけは何だったのですか?
正直に言うと、コメディーには向いていないと気付いたからです。それに、元々スリラーやミステリー作品を見ることが好きだったので、自分でもそのジャンルの作品を作ってみたくなったんです。

北村一輝演じる謎の男アキラ
北村一輝演じる謎の男アキラ

Q:この作品ではミステリー小説家を主人公に、何層もの事件が重なり合っていますが、映画製作にあたりどのような取材をされたのでしょうか?
取材と呼んでいいのかわかりませんが、元々ミステリー小説の大ファンだったので、そのジャンルの小説を何冊も読んだり、犯罪事件を取り上げたドキュメンタリー映画やTV作品をたくさん見たりしましたね。

Q:監督自身がミステリー好きだということですが、この作品において、影響を受けたミステリー作家や作品などがあれば、教えてください。
アメリカの作家だとレイモンド・チャンドラー。日本の作家だと松本清張、特に彼の『砂の器』は大好きな作品です。本作の脚本に取り掛かった時から、40 ~ 50年代のアメリカの犯罪映画に見るフィルム・ノワール系のストーリーと松本清張の初期の作品のような和風ミステリーをミックスしたものを作りたいという考えが常にありました。

ヒロインを演じる藤谷文子
ヒロインを演じる藤谷文子

Q:映画にはミステリー作家、保安官、謎の男など、バックグラウンドや境遇の異なるキャラクターが登場しますが、彼らはどのようにして生まれたのでしょうか?
映画監督の仕事は、作家の仕事に似ているところがあると思います。僕自身、主人公アキと同じように、宣伝ツアーで疲れたり、辞めたくなったりしたことが何度かあります。そんなわけで、アキというキャラクターは自分に少し似ている気がしますね。
アキを演じた藤谷文子さんとは、以前仕事をご一緒したことがあり、今回、彼女を念頭に置いて脚本を書きました。同様に、保安官役は彼を演じたペペ・セルナ氏を念頭に置いて書きました。藤谷さんもセルナ氏も、2 人が演じた役のモデルだったのです。

Q:シアトルには日本人が多く住んでおり、曇りや雨の多い気候は、まさにミステリーの舞台にピッタリのような気がします。なぜサンフランシスコを舞台に選ばれたのですか?
僕もシアトルが大好きですし、以前シアトルで映画を撮影したこともあるんですよ。シアトルが舞台のミステリーというの
は面白そうですね。サンフランシスコは、フィルム・ノワールでよく出てくる港町のイメージにピッタリで、このストーリーに適していると感じましたが、日米のミステリーを作る機会がまたあれば、ぜひシアトルを舞台にしたいと思います!

Q:構成から完成までの間に「これは大変だった!」というようなエピソードはありますか? また完成までにどれくらいの期間を要したのでしょうか?
大変だったエピソードは数えきれない程ありますね。インディーズ映画ですからね! 大変なことはたくさんありましたが、一緒に仕事をしたプロデューサー、スタッフ、出演者が大好きだったので、楽しみながら仕事ができました。脚本を書き始めてから映画公開までに3年かかりました。これはインディーズ映画にしてはかなり早い方ですよ!

Q:今後はどんな作品に挑戦していきたいですか?
サスペンス映画をもっと撮りたいです。ミステリーだけじゃなくて、いろいろなタイプのスリラーです。

Q:最後に、シアトル上映にあたり、シアトルに住む日本人にメッセージをお願いします。
今まで皆さんが見たことのないようなスリラー作品に仕上がっています。ぜひ、『マンフロムリノ』を見に来てください!

プロフィール:デイブ・ボイル(Dave Boyle)
2006年、2カ国語コメディー『Big Dreams Little Tokyo』で長編映画デビュー。2作目となる『White on Rice』は全国各地の映画祭で賞を受賞したあと、全米で公開された。『Surrogate Valentine』はSXSW映画祭で封切りされ、シアトル国際映画祭、サンフランシスコ国際アジアンアメリカン映画祭(クロージング・ナイト・セレクション、観客賞受賞)、ハワイ国際映画祭など数々の映画祭で上映された。

『Man From Reno(マンフロムリノ)』
上映期間:4月30日(木)~5月4日(月)
場所:Northwest Film Forum 1515 12th Ave., Seattle, WA 98122
詳細:www.manfromrenomovie.com
www.nwfilmforum.org