福島邦子アフタヌーン・コンサート

シンガーソングライター、福島邦子さんは世良公則さんと同期で、研ナオコさんがカバーする「ボサノバ」など、80年代のヒット曲も手がけています。3回目となるシアトル公演は、どんなステージになるのでしょうか。懐かしいエピソードや近況も交えながら、コンサート内容について紹介してもらいました。

(取材・文：ハントシンガー典子)

私の歌、心の中を皆さんに届けたい

2014年に日本からシアトルに移り、引き続きボイストレーニング業や音楽活動を行う中、日本にいたら経験できなかったこと、会えなかった人との出会いなど、たくさんの刺激をもらっています。アメリカは好きで何度も遊びに来ていましたが、暮らすとなるといろいろ大変。音楽の時間が取れない、日本への郷愁、アメリカ生活の疲労感などネガティブな思考は音楽に向けるエネルギーに変えています。個人的な悲喜こもごも、あらゆる気持ちの動きが歌作りに影響している気がします。私の歌、心の中を届けたいという気持ちがいちばんの活力源。1日1回はピアノの前に座れるよう、体力維持のためのラジオ体操が日課となっています。第一、第二の両方です。今ではすっかり、ラジオ体操の深みにハマっています（笑）。

現在、日本での音楽活動は年に1度のコンサートのみですが、毎回足を運んでくれる方がいます。仲間のサポートもあり、言葉のハンディもなく、慣れた空気の中で私自身がリラックスして歌うことができる。そんなライブ感をシアトルでも実現できたらという思いから、日本での活動を長年サポートしてくれているミュージシャン、ビオラの田中景子さん、ピアノの竹田 元はじむさんに無理を言って今回の参加をお願いしました。シアトルで毎回参加してくれるベーシスト、宮田三郎さんもいます。今回も日本語のオリジナルを中心にしつつ、それ以外にも昔から日本で歌われてきた曲、アメリカでもよく知られている曲などを歌います。一方的ではなく、私自身をもっと身近に感じてもらえるような、距離感の近いコンサートにしたいと思っています。大好きなポルトガルの音楽、ファドに影響されて作った曲もあります。ビオラの音色が、曲をさらに盛り上げてくれます。

研ナオコさんとの縁

小学校時代に、NHKで歌の伴奏もしている有名な先生にピアノを習っていたのですが、ピアノよりもそのあとの歌の練習が楽しみでした。大人が集まる場所では美空ひばりさんやザ・ピーナッツの歌を歌って拍手をもらっていました。通称「ポプコン」と言われたヤマハポピュラーソングコンテストでの受賞をきっかけにデビュー。翌年リリースした「ボサノバ」は研ナオコさんが後にカバーし、NHK紅白歌合戦でも歌われました。実はこれ、あとから知ったことで、正直びっくりしたのを覚えています。ナオコさんには、同じ地域に住んでいたこともあり、縁を感じていました。昨年はナオコさんの娘さんとシアトルで共演して感慨深かったです。提供してヒットした曲はほかに、風見しんごさんの「涙のtake a chance」があります。とにかくブレイクダンスが踊りたい！という強いリクエストをもらい、この曲を書きました。当時、しんごさんのバックバンドで参加していた私は、しんごさんのダンスのすごさに、ただただ驚きました。

エレキギターを持ってロック風に歌っていたにもかかわらず、昔からよく「あなたの歌は暗い」と言われます。インタビューなどであまり話さないのでやりにくい、とも。私自身はいたって普通のナチュラルな人間のつもりなのですが……。歌詞が結構過激で、特に若い頃に作った歌は、「これ、本当に自分で書いたの？」と驚くこともあります。歌を通してたくさんのメッセージを語りたいという思いは、昔から強いのかもしれません。

コンサートでは、日本語の歌を聴きながら、心の中で懐かしさや温かさを感じてもらえたらうれしいです。日本語のゆったりとした音楽を楽しみに、ぜひいらしてください。

Kuniko Fukushima Afternoon Concert in Seattle

ボーカル／ピアノ：福島邦子
ビオラ：田中景子 ピアノ／ギター：竹田 元 ベース：宮田三郎
日程：9月7日（土）12:30pm（開場：11:30am）
場所：The Chapel Performance Space at the Good Shepherd Center
4649 Sunnyside Ave. N., Seattle, WA 98103
チケット：大人$20、子ども（10歳以下）$10
※当日は大人$25、子ども$15
予約・詳細：https://kunikoafternoon.godaddysites.com