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大阪・関西万博に向けた兵庫県の取り組み〜シアトルの知恵ノート

知恵ノート

知っておくと暮らしが豊かになるヒントを、シアトルで活躍するさまざまな専門家の方に聞きます。

大阪・関西万博に向けた兵庫県の取り組み

2025年4月13日から10月13日まで約半年に渡って開催される大阪・関西万博。世界中から人々が集うこの機会に向けて、兵庫県は県全体を展示館と見立てて発信する「ひょうごフィールドパビリオン」を展開、兵庫の魅力をお届けしています。

兵庫県ワシントン州事務所

池上卓久■神戸市東灘区出身。関西学院大学(兵庫県西宮市)卒業。兵庫県ワシントン州事務所所長。2023年4月にワシントン州シアトル市に赴任し、ワシントン州をはじめとする米州地域との経済・文化・人的交流の促進などを担当している。

Hyogo Business & Cultural Center
1001 4th Ave. #4310, Seattle, WA 98154
☎️206-728-0610、office@hyogobcc.org
www.hyogobcc.org

万博に求められる意義の変遷

1851年に産業革命発祥の地、英国ロンドンで始まった万博は、従来、世界各国が産業の発展や技術革新の成果を披露し国力を誇示する場でした。しかし、21世紀の万博は、人類共通の課題を解決するアイデアを提言する場となることが求められています。

日常生活に密着した課題に光をあて、それを解決するための地域の団体・企業や住民による取り組みの中に存在する「世界に対する普遍的な価値」を見出し発信して、新たな議論や行動につなげていきたいと考えています。

兵庫県にとっての万博の意義

兵庫県は、歴史も風土も異なる個性豊かな五国、摂津せっつ播磨はりま但馬たじま丹波たんば淡路あわじ において、地域の人々が主体的に課題解決に取り組み、未来を切り拓いてきました。この中には世界が持続可能な発展を遂げていくためのヒントが多く秘められています。

2025年大阪・関西万博は、こうした兵庫の取り組みを国内外に伝える絶好の機会だと期待しています。

「ひょうごフィールドパビリオン」とは

地域の人が主体となって地域を豊かにする「活動の現場そのもの(=フィールド)に、来て、見て、学び、体験できる場が「ひょうごフィールドパビリオン」です。これまで認定された230のプログラムの中から、特に地域の環境に関連したプログラムを3つ紹介します。

尼崎あまがさき 運河クルーズツアー(尼崎市)

阪神工業地帯の中核の一つとして高度経済成長を支えてきた尼崎市は、公害問題に悩まされた時代がありました。環境への関心が高まる中、地域一体の取り組みにより、現在では海洋生物資源に恵まれた豊かな海域を有する地域へと変化を遂げています。高度成長期に港湾物流施設として機能し、重要な役割を担ってきた尼崎運河は、その物流・防災機能を維持しつつ、持続性のある「生態系による自浄作用」を利用したエコシステム工法を採用しています。

運河の入口にある「あま ロック」こと尼崎閘門こうもん は、日本初のパナマ運河方式の閘門で、現在でも国内最大級です。このプログラムでは、チャーター船で船上から水門の開閉や水位の上下を体験できます。

慶野松原けいのまつばら ― 来て・見て・学んで・楽しもう (南あわじ市)

慶野松原は、柿本人麻呂かきのもとのひとまろ らにより「万葉集」に詠まれた風光明媚ふうこうめいび で知られた景勝地です。独特の形状をもつ約5万本の淡路黒松と、約2.5km続く白い砂浜が織りなす、瀬戸内海随一の白砂青松はくしゃせいしょう の松原。松越しに見る瀬戸内海の夕日はまさに絶景です。このプログラムでは、美しい景観を保全するため、松の植樹や枯れ枝処理、海岸清掃などに取り組む団体と協働して作業体験し、時代の変化と共に起きる課題と、それに立ち向かう活動を学ぶことができます。

上山うえやま 高原の再生について学ぶSDGsプログラム(新温泉町しんおんせんちょう

上山高原は、かつては春の火入れや但馬牛たじまうし の放牧、採草(牛の餌や茅の利用)など、地域の人々の利用によって維持され、ススキ草原には草原性のチョウ類や野うさぎが生息し、その野うさぎを食べるイヌワシなど、豊かな生態系が保たれていました。しかし、人々の利用の低下とともに、その生態系も失われていきました。ススキ草原を再生しイヌワシが生息できる生態系を取り戻すため、約20年前から地域住民を中心とするNPOや行政などが協力し、上山高原の多様な自然を守り育んでいます。このプログラムでは豊かな自然に触れながら、高原やその周辺の里山、棚田を保全・復元する取り組みをトレッキング等の体験を通じて学ぶことができます。

ひょうごフィールドパビリオンを体験してみませんか?

今回紹介した以外にも、魅力的なプログラムが多くあります。兵庫県では、ひょうごフィールドパビリオンのホームページや公式インスタグラムでプログラムを紹介しています。もし気になるプログラムが見つかったら、ぜひ兵庫を訪問して、実際に体験してみてください!

ひょうごフィールドパビリオンホームページ:
https://expo2025-hyogo-fieldpavilion.jp
ひょうごフィールドパビリオンインスタグラム: @hyogo_field_pavilion