シアトルの知恵ノート
知っておくと暮らしが豊かになるヒントを、シアトルで活躍するさまざまな専門家の方に聞きます。
モーゲージ(住宅ローン)を利用した資産の増やし方
アメリカで持ち家が欲しい。たくさんの人が持つ夢のひとつですよね。でもアメリカ人ではない私たちがこの地で大きな借金を抱えるのは、大変不安なことでしょう。そんな悩みを少しでも和らげるために、住宅ローンと資産形成について解説します。
グローブス・キャピタル
ミラーみつこ■シニア・モーゲージ・スペシャリストとして30年以上の経験。相談には無料で応じている。グローブス・キャピタルでは通常の住宅ローンサービスに加え、コマーシャルローンや自営業者向けローン、ビジネスオーナーローンなど、多様なニーズに応える幅広いサービスを提供。ビジネス関連のローンを検討している方々にもアドバンテージになるようサポートする。
Groves Capital,
Inc.
4883 Ronson Court, # A/B, San Diego, CA 92111
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アメリカで家を購入する=投資
家の購入を考える際に誰もが懸念することは「もし払えなかったらどうなるのだろう?」「払いきるのはいつになるのだろう?」ということです。さらに、一度家を買ったら一生住み続けるものだという考えが購入を躊躇させてしまうこともあります。理想の家に手が届かず、決めかねているうちに、何もしないまま時間が経ってしまうということも多いです。しかし、借家に住んでいては自分の資産を作ることはできません。むしろ、家主の資産作りを手伝っているだけになります。
アメリカでは自分の家を持つことは、単に自らが居住するだけでなく、「投資」の一つだと考え方を変えなければいけません。投資として考えると、どのくらいの利率で家の価値が上がっていくのかがまず気になりますよね。アメリカの住宅価格の平均上昇率は約4パーセントです。たったの4パーセントと思うかもしれませんが、この4パーセントは貯金や株の1万ドルの4パーセント、つまり400ドルとは違います。たとえば家の値段が40万ドルだとした時、その4パーセントですから、1万6千ドルの利益となります。4パーセントという数字はアメリカ全体の平均ですので、西海岸などではさらに高い利率になることもあります。私の経験では、10パーセント以上の値上がり率が見込まれる時期もありました。
家を購入するメリットを考える
現実的に考えて、どれくらいの人が40万ドルの現金をすぐに投資できるでしょうか? それほど多くはありませんよね。しかし、家を購入するとなるとどうでしょうか。40万ドルの家を買うのに5パーセントの頭金しか持ち合わせていなくても、残りの95パーセント(38万ドル)を借りることで資産を手に入れることができ、40万ドルの投資をしたことになるのです。これはアメリカの金融業界用語でOther People’s Money(OPM)といい、自分のお金を使うことなく、欲しいものを手に入れる戦略です。
4パーセントの利率で住宅の価値が上がっていくとすると、40万ドルの家は何年で倍額になるでしょうか? 答えは18年です。一般的には、18年かかっても40万ドルを貯めるのは大変なことです。家を購入すると毎月の支払いは借家と同様に発生するものの、自分の家に住み続けることで資産が増えていきます。株や投資のようにリスクを取る必要はなく、低リスクで資産を増やせるといえるでしょう。
車の購入やクレジットカードの借金とは違い、家のローンは「借金」とは考えず、投資と捉えるべきです。車は使うほど価値が下がっていく一方で、家は時間と共に価値が上がるからです。
また、子どもの大学費用の心配をせずに済んだり、クレジットカードの借金を返済できたり、急な医療費に対応できたりしたとき、家を買っておいてよかったと思うことになるでしょう。確かに貯金をするのは難しいかもしれませんが、住宅ローンを組み替えることで時間が経つにつれて増える純資産(Equity:家の価値/値段からローンの残額を差し引いたもの)を活用することができます。これにより、金銭的に困ることなく、心に余裕を持つことができ、生活も豊かになります。将来的に定年を迎えた際、社会保障制度(Social Security)だけでは生活が厳しくなるかもしれません。しかし、持ち家があれば、リバースモーゲージを活用して、住み続けながら老後資金を確保する方法もあります。これにより、贅沢を我慢するような生活を避けることができるでしょう。
ステップを踏んで、夢の家に近づこう
初めて家を購入する際は、「アパート代わり」として考えると良いでしょう。第一歩は夢とはほど遠いかもしれませんが、ステップを踏むことで理想の家に近づいていくことができます。最初の家を購入して数年が経つと、収入も増えているはずです。そして2回目の購入時には、頭金も増えているでしょう。もちろん、懸念する点もあると思いますが、家を何度か買い替えることで、少しずつ理想の家に近づくことが可能です。
「頭金をもっと貯めてから買おう」と考える人もいるかもしれませんが、その間に家の価値が上がる可能性があることも念頭においてください。値段が上がりすぎて、いつまで経っても手が届かない額になってしまっては意味がありません。20パーセントの頭金を貯めるために待つよりも、5パーセントの頭金で購入できるタイミングで家を買ってしまう方が、結果的に得をする場合も多いので、専門家に相談し、納得のいくプランを立ててもらうことをお勧めします。
私の勤務するグローブス・キャピタルでは、投資物件(貸家、アパート、ビジネス)の金融も取り扱っています。 相談は無料ですので、気兼ねなくいつでもご連絡ください。