子どもとティーンのこころ育て
アメリカで直面しやすい子どもとティーンの「心の問題」を心理カウンセラー(MA, MHP, LMHC)の長野弘子先生(About – Lifeful Counseling)が、最新の学術データや心理療法を紹介しながら解決へと導きます。
承認欲求に苦しまない方法
~自分を認める「自己承認」のススメ~
インスタグラムなどのSNSで「いいね」やコメントがたくさんつくと嬉しいものですね。しかし、自分を認めてほしいという承認欲求が強すぎて、他人の評価に一喜一憂するようになると、逆に生きづらくなります。大人でもSNSから離れられない人が多い昨今、子どもたちが承認欲求の罠にはまって自分を見失わないために、親としてできることを探りました。
承認欲求とは、自分の価値を認められたいという自我の欲求です。アメリカの心理学者アブラハム・マズローは人間の欲求を5段階に分け、その4つ目に「承認の欲求」を位置づけています(注)。
承認欲求は、他者から認められたり尊重されたいという「他者承認」と、自分で自分の価値を認める「自己承認」の2つに分けられます。他者承認は、子どもが親に褒められたい、友人に受け入れられたいといった成長過程で生まれてくる自然な欲求です。他者から認められることで、次第に自分を認める自己承認の力が育っていきます。最終的には、人の意見も尊重しつつ、自分で物事を決定できる自立した大人になることが理想です。
しかし、幼少期から親や先生に否定され続けたり、思春期の多感な時期に友人からのいじめに遭ったりして「自分が嫌われている」と感じる体験が多いと、自分を受け入れる気持ちがなかなか育めません。こうした場合、他者承認への依存が強まり、他人の評価に左右されやすくなることがあります。以下の特徴を持つ人は、他者承認の欲求が強いといえるでしょう。
1)強い劣等感:人と自分を常に比較し、人の目を気にして失敗を恐れチャレンジを避ける
2)八方美人:自分の意見を隠して人に話を合わせ、気に入られようとする
3)強い自己顕示欲:自慢話や自分の話ばかりをし、人からの称賛を求める
4)情緒不安定:感情の起伏が激しかったり。逆に感情を極端に抑え込む
5)過干渉:自分の不安感を軽減するため、人に細かく指図して操作しようとする
これらの特徴を持つ人には、「自分軸」ではなく「他人軸」で生きているという共通点があります。人からの評価に自己価値を委ねてしまい、相手の言動に振り回されることになるのです。社会的に成功している人でも「本当の自分を見せたら否定されるのでは」と思い込み、空虚感や孤独感を感じつつも周囲から期待される自己像を演じ続けている人が大勢います。過干渉な親のもとで育った子どももまた、常にダメ出しをされるので、自分を受け入れることが難しくなり、他者承認に依存しがちな大人になることがあります。
他者からの評価に依存するのではなく、自分で自分を認める「自己承認」の力を身につけることで、自由に生きられるようになります。自己承認とは「自分の長所も短所も含めて認めてあげること」です。しかし、多くの人にとって「自分の短所なんて認めたくない」と感じるのも事実。そこで、短所や失敗を認めるための具体的なステップをご紹介します。
な気持ちを感じ切って平常心に戻ると、最初は難しいかもしれませんが、次第に考え方が前向きに変わっていきます。自分の欠点や嫌な気持ちを認められるようになれば、子どもに対しても同じように優しい視点で子どもの欠点を受け入れることができるでしょう。それが子どもの自己承認の力を育てる一番の近道になります。親子共に、長所も短所もすべてひっくるめた存在そのものを互いに認め合えるようになるといいですね。
承認欲求とは、自分の価値を認められたいという自我の欲求です。アメリカの心理学者アブラハム・マズローは人間の欲求を5段階に分け、その4つ目に「承認の欲求」を位置づけています(注)。
承認欲求は、他者から認められたり尊重されたいという「他者承認」と、自分で自分の価値を認める「自己承認」の2つに分けられます。他者承認は、子どもが親に褒められたい、友人に受け入れられたいといった成長過程で生まれてくる自然な欲求です。他者から認められることで、次第に自分を認める自己承認の力が育っていきます。最終的には、人の意見も尊重しつつ、自分で物事を決定できる自立した大人になることが理想です。
しかし、幼少期から親や先生に否定され続けたり、思春期の多感な時期に友人からのいじめに遭ったりして「自分が嫌われている」と感じる体験が多いと、自分を受け入れる気持ちがなかなか育めません。こうした場合、他者承認への依存が強まり、他人の評価に左右されやすくなることがあります。以下の特徴を持つ人は、他者承認の欲求が強いといえるでしょう。
1)強い劣等感:人と自分を常に比較し、人の目を気にして失敗を恐れチャレンジを避ける
2)八方美人:自分の意見を隠して人に話を合わせ、気に入られようとする
3)強い自己顕示欲:自慢話や自分の話ばかりをし、人からの称賛を求める
4)情緒不安定:感情の起伏が激しかったり。逆に感情を極端に抑え込む
5)過干渉:自分の不安感を軽減するため、人に細かく指図して操作しようとする
これらの特徴を持つ人には、「自分軸」ではなく「他人軸」で生きているという共通点があります。人からの評価に自己価値を委ねてしまい、相手の言動に振り回されることになるのです。社会的に成功している人でも「本当の自分を見せたら否定されるのでは」と思い込み、空虚感や孤独感を感じつつも周囲から期待される自己像を演じ続けている人が大勢います。過干渉な親のもとで育った子どももまた、常にダメ出しをされるので、自分を受け入れることが難しくなり、他者承認に依存しがちな大人になることがあります。
他者からの評価に依存するのではなく、自分で自分を認める「自己承認」の力を身につけることで、自由に生きられるようになります。自己承認とは「自分の長所も短所も含めて認めてあげること」です。しかし、多くの人にとって「自分の短所なんて認めたくない」と感じるのも事実。そこで、短所や失敗を認めるための具体的なステップをご紹介します。
1)感情を認める:自分の短所や失敗を考えた時に感じる嫌な感情に気づきます。否定的に捉えることはせずにただ観察し、感情がそこにあるという事実を認めます(例)心配性が自分の欠点と思っている場合、「私は不安を感じている」など自分の気持ちに気づきそれを認める
2)許す:時間をかけて体の感覚を感じ、気持ちが落ち着くまで感じ切ります(例)「胸の辺りがモヤモヤする」「今この瞬間、この気持ちを感じても大丈夫」「嫌な気持ちだけど一生続く訳ではない」など語りかけ、落ち着くまで気持ちを感じる
3)理解:なぜその気持ちになったのか、優しい視点から自分を理解してあげます(例)「将来を考えて不安になった。こどもや配偶者に不満をぶつけるより、自分にできることを書き出してみよう」など語りかけ、自分の気持ちに寄り添う
2)許す:時間をかけて体の感覚を感じ、気持ちが落ち着くまで感じ切ります(例)「胸の辺りがモヤモヤする」「今この瞬間、この気持ちを感じても大丈夫」「嫌な気持ちだけど一生続く訳ではない」など語りかけ、落ち着くまで気持ちを感じる
3)理解:なぜその気持ちになったのか、優しい視点から自分を理解してあげます(例)「将来を考えて不安になった。こどもや配偶者に不満をぶつけるより、自分にできることを書き出してみよう」など語りかけ、自分の気持ちに寄り添う
な気持ちを感じ切って平常心に戻ると、最初は難しいかもしれませんが、次第に考え方が前向きに変わっていきます。自分の欠点や嫌な気持ちを認められるようになれば、子どもに対しても同じように優しい視点で子どもの欠点を受け入れることができるでしょう。それが子どもの自己承認の力を育てる一番の近道になります。親子共に、長所も短所もすべてひっくるめた存在そのものを互いに認め合えるようになるといいですね。
(注)マズローの欲求5段階説:ピラミッド状の階層を成し、上に行くほど高次の欲求になる5)自己実現の欲求 (Self-actualization)4)承認の欲求 (Esteem)3)社会的欲求 / 所属と愛の欲求 (Social needs / Love and belonging)2)安全の欲求 (Safety needs)1)生理的欲求 (Physiological needs)