子どもとティーンのこころ育て
アメリカで直面しやすい子どもとティーンの「心の問題」を心理カウンセラー(MA, MHP, LMHC)の長野弘子先生(About – Lifeful Counseling)が、最新の学術データや心理療法を紹介しながら解決へと導きます。
子どもの「心の強さ」を育む
~幸せな人生を送るためには~
幸せな人生とは、どんなものでしょうか? 不幸な出来事が一切起こらず、次から次へと幸運が舞い込む人生でしょうか? あるいは、経済的な豊かさや高度な身体能力、または芸術的才能に恵まれた人生でしょうか。しかし、周囲を見渡してみると、そうした条件を持たない人でも幸せに暮らしていることに気づきます。一方で、条件に恵まれているにもかかわらず不満を抱えた人もいます。この違いはどこから生まれるのでしょうか。
幸せに生きる人に共通するのは、困難に直面しても諦めず、前向きに立ち向かう「心の強さ」を持ち合わせていることかもしれません。「心の強さ」は、私たちの「ものの見方」に深く関係しています。認知行動療法では、私たちが日頃考えている思考の基盤となる価値観や信念を「中核的信念(core belief)」と呼び、以下の3つに分類しています。
自己像 : 自分をどう捉えるか
世界観 : 他者や社会をどう見るか
将来像 : 自分の未来についてどう考えるか
心が折れやすい人は、これらの信念が悲観的な傾向にあります。たとえば、「自分は人に好かれない」「世の中は不公平だ」「未来には希望がない」といった否定的な思考です。このような信念が心の強さを損ない、困難を乗り越える力を奪います。
否定的な信念が及ぼす影響
否定的な信念を変える方法:リフレーミング
心の強さを育むには、これらの悲観的な信念を手放し、より客観的で前向きな視点を持つことが必要です。その手法の一つが「リフレーミング(Reframing)」です。リフレーミングとは、視点を変えて悩みや問題を新しい枠組みから捉え直し、建設的な解決策を見つける方法です。
リフレーミングを日常に取り入れる
リフレーミングをして考え方を変えた後は、その新しい考え方を行動に移しましょう。たとえば、苦手な人について悩んでいることに気づいたら、その逆に自分の大好きな人に日頃の感謝の気持ちを伝えてみましょう。また、自分を他人と比較していることに気づいたら「自分と他人は別。比較する相手は昨日の自分のみ」と言い聞かせましょう。リフレーミングを実践していくと、自分がコントロールできるのは「自分の思考・感情・行動」のみということに気づき、他人と健全な境界線を引けるようになるでしょう。
人生に内在する不公平を受け入れる
誰の人生にも、不幸や理不尽な出来事は必ず起こります。しかし、それらを嘆く代わりに、自分を成長させるチャンスだとリフレーミングすれば、自ずと望みや解決策にフォーカスできるでしょう。自分にできる行動を粛々と積み重ねていけば、自分への信頼や自信、また他者への感謝を感じる機会が増えるはずです。このようにして、自分の人生に意義を見出して丁寧に生きる人こそ、精神的に自立した人といえるでしょう。
子どもが未来に希望を持ち、自立してより幸せな人生を歩む力を養うきっかけとして、親子で「心の強さ」を育むためにリフレーミングを実践してみませんか?
幸せに生きる人に共通するのは、困難に直面しても諦めず、前向きに立ち向かう「心の強さ」を持ち合わせていることかもしれません。「心の強さ」は、私たちの「ものの見方」に深く関係しています。認知行動療法では、私たちが日頃考えている思考の基盤となる価値観や信念を「中核的信念(core belief)」と呼び、以下の3つに分類しています。
自己像 : 自分をどう捉えるか
世界観 : 他者や社会をどう見るか
将来像 : 自分の未来についてどう考えるか
心が折れやすい人は、これらの信念が悲観的な傾向にあります。たとえば、「自分は人に好かれない」「世の中は不公平だ」「未来には希望がない」といった否定的な思考です。このような信念が心の強さを損ない、困難を乗り越える力を奪います。
否定的な信念が及ぼす影響
1. 自己像 心が折れやすい人は、自分について厳しく否定的な見方をしがちです。たとえば、「自分は失敗ばかり」「完璧でなければ価値がない」といった考えが典型です。こうした否定的な思考は、失敗の経験を過度に重く受け止め、次の挑戦への意欲を削いでしまいます。
2. 世界観 他者や社会への見方が悲観的である場合、被害者意識が強まりやすくなります。「自分が不幸なのは他人のせい」「世の中は冷酷だ」と考えると、孤立感が強まり、他者との良好な関係を築くのが難しくなります。
3. 将来像 未来への希望を持てない場合、「どうせ努力しても無駄」「歳を取るごとに価値が下がる」といった考えが生まれます。その結果、現状に不満を感じつつも変化を恐れ、停滞した状態に陥ります。
2. 世界観 他者や社会への見方が悲観的である場合、被害者意識が強まりやすくなります。「自分が不幸なのは他人のせい」「世の中は冷酷だ」と考えると、孤立感が強まり、他者との良好な関係を築くのが難しくなります。
3. 将来像 未来への希望を持てない場合、「どうせ努力しても無駄」「歳を取るごとに価値が下がる」といった考えが生まれます。その結果、現状に不満を感じつつも変化を恐れ、停滞した状態に陥ります。
否定的な信念を変える方法:リフレーミング
心の強さを育むには、これらの悲観的な信念を手放し、より客観的で前向きな視点を持つことが必要です。その手法の一つが「リフレーミング(Reframing)」です。リフレーミングとは、視点を変えて悩みや問題を新しい枠組みから捉え直し、建設的な解決策を見つける方法です。
リフレーミングの例:
「自分は人に好かれない」→「苦手な人もいるが、多くの人と良好な関係を築いている」
「完璧でなければ価値がない」→「完璧でないからこそ人間らしく魅力的だ」
「成功しないと幸せになれない」→「成功していなくても幸せな人はたくさんいる」
「自分は人に好かれない」→「苦手な人もいるが、多くの人と良好な関係を築いている」
「完璧でなければ価値がない」→「完璧でないからこそ人間らしく魅力的だ」
「成功しないと幸せになれない」→「成功していなくても幸せな人はたくさんいる」
こうした新しい考え方の枠組みを取り入れることで、現実をより柔軟に捉えられるようになります。
リフレーミングを日常に取り入れる
リフレーミングをして考え方を変えた後は、その新しい考え方を行動に移しましょう。たとえば、苦手な人について悩んでいることに気づいたら、その逆に自分の大好きな人に日頃の感謝の気持ちを伝えてみましょう。また、自分を他人と比較していることに気づいたら「自分と他人は別。比較する相手は昨日の自分のみ」と言い聞かせましょう。リフレーミングを実践していくと、自分がコントロールできるのは「自分の思考・感情・行動」のみということに気づき、他人と健全な境界線を引けるようになるでしょう。
人生に内在する不公平を受け入れる
誰の人生にも、不幸や理不尽な出来事は必ず起こります。しかし、それらを嘆く代わりに、自分を成長させるチャンスだとリフレーミングすれば、自ずと望みや解決策にフォーカスできるでしょう。自分にできる行動を粛々と積み重ねていけば、自分への信頼や自信、また他者への感謝を感じる機会が増えるはずです。このようにして、自分の人生に意義を見出して丁寧に生きる人こそ、精神的に自立した人といえるでしょう。
子どもが未来に希望を持ち、自立してより幸せな人生を歩む力を養うきっかけとして、親子で「心の強さ」を育むためにリフレーミングを実践してみませんか?