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簡単に目標を達成するには?~価値観を見直してやる気を伸ばす~

子どもとティーンのこころ育て

アメリカで直面しやすい子どもとティーンの「心の問題」を心理カウンセラー(MA, MHP, LMHC)の長野弘子先生(About – Lifeful Counseling)が、最新の学術データや心理療法を紹介しながら解決へと導きます。

簡単に目標を達成するには?~価値観を見直してやる気を伸ばす~

新しい年の幕開けです。今年はどんな年にしたいですか? 「新年の抱負はいつも三日坊主に終わってしまう」という人は大勢いることでしょう。けれども、上手に目標を設定することで、意外と簡単に目標を達成できるかもしれません。コツは、自分の価値観を明確にし、それに沿った目標を設定することです。

「こういう価値観を大切にして生きている」と深く理解し、その価値観に合わせた目標を立てると、楽しみながらチャレンジする意欲が出てきます。その逆に、何となく周りに影響されて「とりあえず今年もダイエットにしとこうかな」など気が乗らない目標を立てると、なかなか達成意欲が湧かずに長続きしないものです。

人間行動学の権威であるジョン・ディマティーニ博士の提唱する「価値の序列」などを参考にして、人間の活動を大きく分けてみると、「精神性」、「学習・知識」、「仕事」、「家族」、「人間関係」、「美容・健康」、「娯楽」の7つの領域に分けられます。「人生で何をしたいかわからない」と思っている人も含め、全ての人はいずれかの価値のジャンルに、より多くの時間、エネルギー、お金を使っています。つまり、それらを客観的に観察することで、自分の価値観が明確になり、目標も立てやすくなります。

具体的には、以下の質問に対して自分の中のトップ3を選び、7つの領域のどれに当てはまるかを書き出してください。

1) あなたの部屋やオフィスを占めているものは何ですか?

「こうだったらいいな」という理想ではなく、ありのままの現状から答えてください。たとえば、スマホやパソコンの場合は、それを何のために使っているのかという「目的」から価値観を見つけます。仕事にいちばん多く使っている場合は「仕事」、SNSや友人とのやり取りによく使う場合は「人間関係」など。

2) 何に時間を費やしていますか?

家事や料理の場合は「家族」、運動の場合は「美容・健康」など。

3) あなたがエネルギーを注いでいるものは何ですか?

子どもの教育であれば「家族」、また仕事関連動画の閲覧であれば「仕事」など。

4) 何にお金を使っていますか?

たとえば、本の場合はその内容によって「仕事」や「精神性」などと当てはめてみてください。

以上、3個ずつ、全12個出そろったら、いちばん多かった領域から順番に並べてみましょう。それがあなたの価値の序列になります。上位にあるものは時間もお金も費やすので発展し、下位にあるものはその逆に衰退していきます。さて、あなたの価値の序列はいかがでしたでしょうか?

たとえば、「仕事」を重視しているのに、実際は自分の時間やお金が「人間関係」に費やされているなどの違いがある場合は、それを意識して習慣を変えるだけでも生き方が変わってくるでしょう。また、自分では意識しなかったけれど、実は思ってもみなかった価値を大切にしていたと気付く場合もあります。

さらに、仕事が美容関連などのように、価値の領域が重なっている場合もあるので、自分の価値観をピッタリ来る最適な言葉に落とし込むことが大事です。価値観を具体的に表現すると、人生の基軸が確立され、自信にもつながります。

ちなみに、私の場合は上位から「仕事」、「家族」、「精神性」の順でした。自分なりの表現にすると、大事にしている価値の1位は「経験と知識を深め、人々の心の健康に貢献する」、2位は「健康で笑いの絶えない幸せな家庭」、3位は「人格と精神性を高める」となりました。これを元に、新年の抱負は、「子育てサポート・グループを作り、月1回のオンライン会合を行う」、「1日に1度は家族の誰かを笑わせる。栄養学・免疫学・東洋医学を学ぶ」、「『一日一善』を実行する。ボランティアに積極的に参加する」としました。書いているだけで実行するのが楽しみになり、ワクワクしてきました。

なお、価値の序列は人によって大きく異なります。パートナーや子どもの価値の序列を知るだけでも、相手への理解が深まると同時に、「自分を理解してくれない」と、落胆したりイライラしたりすることも減るでしょう。また、自分の価値の序列も時が経つにつれて変化していくので、定期的に確認しましょう。

いずれにしても、自分の価値観を明確にすることは、他人の意見に左右されないで、自分自身の人生を自由に送るために不可欠なものです。新しい年に家族で価値の序列をチェックして、それぞれに達成可能な目標を立てられると良いですね。皆さまにとって今年が飛躍の年になるよう願っています。


*同記事は、ノースウェスト大学院で臨床心理学を専攻し、シアトル地域の大手セラピーエージェンシーで5年間働いたのちに独立し、ライフフル・カウンセリングで米ワシントン州認定メンタルヘルスカウンセラー(認定ID:LH60996161)としてセラピーを行う長野弘子さんが、学術データや経験をもとに執筆しているものです。詳しくは、ライフフル・カウンセリングなど専門家へご相談ください。

(参考資料)

ジョン・ディマティーニ博士のウェブサイト

https://drdemartini.com/values

長野 弘子
ワシントン州認定メンタルヘルス・カウンセラー(認定ID:LH60996161)。ニューヨークと東京をベースに、ジャーナリストとして多数の記事を寄稿。東日本大震災をきっかけに2011年にシアトルへ移住し、災害や事故などでトラウマを抱える人々をサポートするためノースウエスト大学院で臨床心理学を専攻。米大手セラピー・エージェンシーで5年間働いた後に独立。現在、マイクロソフト本社の常駐セラピストを務める。hiroko@lifefulcounseling.com