知っておきたい身近な移民法
米国移民法を専門とする琴河・五十畑法律事務所 (K&I Lawyers) の五十畑諭弁護士が、アメリカに滞在するで知っておくべき移民法について解説します。
本コラムで提供される情報は一般的かつ教育的なものであり、個別の解決策や法的アドバイスではありません。また、情報は掲載時点のものです。具体的な状況については、米国移民法の弁護士にご相談ください。
DV-2024プログラム
毎年、この時期になると、米国国務省は移民多様化ビザ抽選プログラム(Diversity Immigrant Visa Program=DVプログラム)を施行しています。DVプログラムは、米国移民の出身国の多様性を維持するため、歴史的に米国移民率の低い国の人々を対象に抽選によって移民ビザ(永住権:グリーンカード)を発給するというものです。通称「宝くじ永住権」、あるいは「抽選永住権」と呼ばれています。2024 年会計年度(2023 年 10月1日から2024 年 9月30日まで)の DVプログラム受付開始は、10月5日の東部時間正午から。終了は、11月8日(火)の東部時間正午です。
2024 年会計年度では、例年通り5 万 5,000 人までの DV 移民枠が割り当てられます。過去 5 年間に5 万人以上の移民を米国に送り出した国の出身者は、DV-2024プログラムの対象にはなりません。日本は2024会計年度でも引き続き、応募対象となっています。
また、応募者の出生国が対象外であっても、次のような場合、配偶者または親の出生国の資格で応募ができます。なお、ここで言う「出生国」とは国籍のことではなく、生まれた国のことです。
1.配偶者が対象国の生まれで、応募者本人と配偶者の両氏名が 応募時に入力されており、両者がDVビザを取得し、一緒に米 国に入国すること。
2.両親が応募者の出生国で生まれておらず、かつ応募者の出生 時に、両親が応募者の出生国の永住者でなかった場合(その国 の一時滞在者であった場合)、どちらか一方の親の出生国が対 象国であれば、その資格で応募可能。
対象国出身であるという条件以外に、応募者は高校を卒業している(または同等の資格を有する)こと、もしくは2 年間の経験・訓練が必要な仕事に、過去 5 年間のうち2 年間従事していることが求められます。
応募するには、国務省の公式サイト(https://dvprogram.state.gov)のフォームに入力し、デジタル写真と併せて送信します。応募は無料です。エラーを避けるために、最新のブラウザの使用が推奨されています。フォームを送信すると、確認画面上に名前と確認番号が表示されるので、確認番号を必ず控えましょう。当選を確認するために必須となります。代行業者を通して応募することも可能ですが、入力情報が正しいかどうかの確認や、確認番号入手のためにも、国務省は応募者自身による応募を勧めています。
応募期間後半、特に最後の1 週間は応募が集中し、アクセス数増加が原因で国務省の公式サイトがダウン、あるいはつながりにくくなるなどの問題が発生する可能性も。期限ぎりぎりでの応募はなるべく避けましょう。また、応募は 1 人につき1 通に限られており、重複した応募は無効となります。締め切り後の応募や、書面の受け付けは一切なされません。DVプログラムの応募期間には、詐欺メールや手紙が急増しますのでご注意ください。
DVプログラムに関する詳細は、国務省公式サイトに掲載されています。2023 年 5月6日以降、同ウェブサイトにて、応募時に与えられた確認番号で当選したかどうかの確認ができます。応募要項はこちらのPDF(https://travel.state.gov/content/dam/visas/Diversity-Visa/DV-Instructions-Translations/DV-2024-Instructions-Translations/DV-2024-Instructions.pdf)を参照してください。
DVプログラムを通してグリーンカードを取得するプロセス ステップ 1:応募 ステップ 2:当選 ステップ 3:グリーンカード申請とインタビュー ステップ4:グリーンカード取得 当選したからといって、必ずしも永住が保証されているわけではありません。ステップ 3では、前述の学歴または職歴の証明や、過去の犯罪歴・移民法上のステータス違反などを含め、永住資格を満たしているかどうかを審査されます。また、永住申請には、当選時に知らされる番号に基づいて順番を待つこと、そして同じ会計年度内の 2024 年 9月30日までに審査を終了することが必要です。実際の当選者数は、このDVプログラムで発給できるグリーンカードの数よりも多い場合があり、それゆえ順番が回ってこないことも。そうなると、当選したとしても、残念ながらグリーンカードを申請、取得できないことになります。 |