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DV-2022プログラム

 

知っておきたい身近な移民法

米国移民法を専門とする琴河・五十畑法律事務所 (K&I Lawyers) 五十畑諭弁護士が、アメリカに滞在するで知っておくべき移民法について解説します。

本コラムで提供される情報は一般的かつ教育的なものであり、個別の解決策や法的アドバイスではありません。また、情報は掲載時点のものです。具体的な状況については、米国移民法の弁護士にご相談ください。

DV-2022プログラム

米国国務省は、移民多様化ビザ抽選プログラム(Diversity Immigrant Visa Program=DVプログラム)を毎年施行しています。DVプログラムは、歴史的に米国移民率の低い国の人々を対象に、米国移民の出身国の多様性を維持するため、抽選によって移民ビザを発給するというもので、通称「宝くじ永住権」、あるいは「抽選永住権」と呼ばれています。

2022年会計年度(2021年10月1日から2022年9月30日まで)のDVプログラム募集要項が、9月30日に発表されました。受付は、10月7日東部時間正午から開始されており、11月10日東部時間正午で終了します。 2022年会計年度では、例年通り5万5,000人までのDV移民枠が割り当てられ、コンピュータで無作為に当選者を選出します。ビザは6地域それぞれに割り当て数が決められ、各地域内では1カ国につき、年間の移民抽選ビザ発給数の7%を超える数のビザを受けることはできません。過去5年間に5万人以上の移民を米国に送り出した国の出身者は、DV-2022プログラムの対象にはなりません。日本は毎年、応募対象資格国で、2022会計年度でも引き続き応募対象となっています。

また、応募者の出生国が対象外であっても、次のような場合、配偶者または親の出生国の資格で応募することができます。

配偶者が対象国の生まれで、応募者本人と配偶者の両氏名が応募時に入力されており、両者がDVビザを取得し、一緒に米国に入国することが条件。なお、同性婚の配偶者でも、この規定の対象となります。

両親が応募者の出生国で生まれておらず、かつ応募者の出生時に、両親が応募者の出生国の永住者でなかった場合(その国の一時滞在者であった場合)、どちらか一方の親の出生国が対象国であれば、その資格で応募することができます。

なお、ここで言う「出生国」とは国籍のことではなく、生まれた国のことです。応募者が対象国出身であるという条件以外に、DVプログラムでは、応募者が高校を卒業(または同等の資格を有する)していること、もしくは2年間の経験・訓練が必要な仕事に、過去5年間のうち2年間従事していること、という経歴も必要です。 応募するには、国務省公式サイト(dvprogram.state.gov)のフォームに必要事項を記入し、デジタル写真をアップロードして送信します。エラーを避けるために、最新のブラウザを使用することを推奨しています。フォームを送信すると、確認画面上に、名前と確認番号が表示されます。確認番号は、当選を確認するために必須ですので、必ず控えましょう。

応募期間後半、特に最後の1週間は応募が集中し、アクセス数増加が原因でウェブサイトがダウン、あるいはつながりにくくなるなどの問題が発生する可能性があるため、期間ぎりぎりでの応募はなるべく避けましょう。また、応募は1人につき1通に限られており、重複した応募は無効となります。募集締め切り後の受け付けや、書面での受け付けは、一切なされません。

DVプログラムの応募期間には、詐欺メールや手紙が急増しますので、ご注意ください。DVプログラムに関する詳細は、前述の国務省公式サイトに掲載されています。応募は無料です。2021年5月8日以降、同じウェブサイトにて、応募時に与えられた確認番号で、当選かどうかの確認ができます。これ以外の方法では当選の連絡はされませんので、応募時の確認番号を必ず控えておき、来年5月8日以降に自分で確認する必要があります。

また、ここで当選したからといって、必ずしも永住できるわけではないことに注意しましょう。当選は、あくまで「応募する資格を得た」というのみで、前述の学歴または職歴が必要なのはもちろん、実際に申請するためには、当選時に知らされる番号に基づいて順番を待つこと、そして申請は同じ会計年度内の2022年9月30日までに審査を終了する必要があります。実際の当選数は、このDVプログラムで発給できるグリーンカードの数よりも多い場合があり、そのため自分の順番が回ってこない可能性もあります。その場合は、応募したとしても、残念ながらグリーンカードを取得できないことになります。

DVプログラムに関する国務省公式ビデオ(www.youtube.com/watch?v=tOQlh2d2EbQ)も公開中です。

五十畑 諭
神戸市出身。明治大学卒業。大手外資系コンピュータ会社でのシステム・エンジニア職経験後渡米。 アメリカのハートランド、カンザス州のワシュバーン大学ロースクール(法科大学院)を卒業、ジュリス・ドクター(J.D.)取得。 カンザス・ワシントン両州において弁護士資格を持つ。K&I Lawyers設立以前は、 ロサンジェルスおよびシアトルにある移民法を中心とする法律事務所での勤務を通じて、多様な移民法関連のケースの経験を積む。 カンザス州およびワシントン州弁護士協会会員、米国移民法弁護士協会会員。 6100 219th St., SW, Suite 480, Mountlake Terrace, WA 98043 ☎ 206-430-5108 FAX 206-430-5118