あなたの幸せに近づくヒント
手相、風水、占星術などをベースにライフコーチを行う植田詠子さんが、星の動きを読み解きながら、宇宙からのメッセージを毎月お届け。
南イギリスのレイラインを訪れるひとり旅(後編)
晴れ女の正体
グランストンベリー・トアと呼ばれる丘のふもとに聖水が湧き出る井戸、チャリス・ウェル。庭園奥にある井戸を囲むようにして数人が座っていました。みんな魔法使いのような風貌で、薬草について話し合っています。笑顔で近づくと、ある女性が私をじっと見つめて、「あなたの後ろに大きなRavenが見えるのだけど、あなた、もしくはあなたの家族が信仰しているの?」と奇妙なことを言います。Raven というのはワタリガラス。私はカラスにあまり良いイメージを持っていませんでした。「いいえ。もしかして、何か悪い意味でもあるのですか?」と聞いてみると、「全然悪い意味なんかないわよ! Ravenは魔法の象徴だから」と教えてくれました。その言葉に安堵した瞬間、ハッとしました。「以前にも同じような会話が……」と、過去の記憶をたどると、10年くらい前にセドナで偶然出会ったネイティブ・アメリカンの男性からも、「君の後ろにはRavenがいるから、魔法が使えるかもしれないね!」と冗談っぽく言われたのです。どうやら、ただの偶然ではなさそう。
旅から戻りネットで調べてみると、日本を含む世界各地でRavenは「太陽神の使い」とする神話や伝承があることを知りました。これまで数え切れないほど世界中を旅してきましたが、移動中を除いて雨が降ったことは一度もありません。当日の天気予報で100%雨となっていても、現地に着いた途端に太陽が現れて、それまでのどしゃ降りの雨がうそのように明るく晴れ渡ります。「晴れ女」とは思っていましたが、背後にいる太陽神の使いのRavenが晴天にしてくれていたのかもしれません。グラストンベリー・トアの丘を登っている時も、背後から誰かが押し上げくれているような、身が軽くなる感覚がありました。旅しているときは、そういうことが時々あるのです。それもRavenの魔法かもしれません。ただ、加護があるのは旅をしている時限定のような気がしています。
エーヴベリーでの癒し
グラストンベリーの村にはバースから片道約2時間かけて日帰りで訪れました。スピリチュアル系のショップなど見どころがたくさんあり、現地に1泊すれば良かったな、とも思いました。世界遺産の魅力的な街、バースをあとにして向かったのは、ストーンヘンジと並んで世界遺産に登録されているストーンサークル、エーヴベリーです。
この遺跡は新石器時代に、おそらく何らかの儀式を目的として造られたと言われています。ストーンヘンジもそのあとに行ったのですが、少し離れた見学ルートから眺めるだけで、触れることは一切できませんでした。エーヴべリーではサークル内のひとつひとつ違ったエネルギーを放つ立石に手で直接触れることができ、至福の時を過ごせました。
その夜は、エーヴべリー遺跡内のベッド&ブレックファストに宿泊。翌朝、ブロックチェーン開発者というドイツ人宿泊客と朝食を取りながら、彼の宇宙理論や神秘体験を3時間ほど聞いて朝から盛り上がりました。「シルベリ—・ヒルでは宇宙エネルギーを感じたから、ぜひ登ったほうがいい」という情報も得ました。エーヴべリー遺跡のすぐ近くにあるシルベリ—・ヒルは、先史時代の人工塚。それまで聞いたこともありませんでしたが、「これは呼ばれているかもしれない!」と直感。前日に予約していたタロット占いに行き、魂の深い部分に光を当てられたような気付きと癒しのセッションを受けた後、シルベリ—・ヒルへと向かいました。
ひと気がない草原を「あまり一般に知られていないパワースポットなのかもしれない」と思いながら歩いていくと、小高い丘のようなシルベリ—・ヒルが目の前に。ただ、鉄線の囲いが張りめぐらされています。そこには、人ひとりがやっと通ることができるくらいの穴が。登っていいものか迷いましたが、ドイツ人の彼が登ったと言っていたし、立入り禁止の標識も見当たらないので、その急斜面を登りました。小さな貝がたくさん落ちていて足元が滑ります。丘の頂上には何らかの儀式跡が残っていました。360度、どこまでも続く草原を見渡せば、天地が自分の中心を貫いて一体となる感覚に。自分の思いがどこにでもつながる、という気がしたので、過去に表現できなかった大事な思いを言葉にして、その場で手放しました。
あとになってわかりましたが、シルベリ—・ヒルはエーヴべリー遺跡群の一部として世界遺産登録されており、まだ調査中なので無断で登ることは禁止されています。とんでもないことをしましたが、このタロット占いとシルベリ—・ヒルがセットになった個人的なヒーリング体験は後々、自分の内面に大きな変化をもたらしてくれました。