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シアトル市が小規模事業者へ救済基金など緊急支援 新型コロナウイルス感染拡大で

シアトル市のジェニー・ダーカン市長は3月10日、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大によって打撃を受けている小規模事業者を救済するため、一連の支援策を発表した。ワシントン州のコロナウイルス対策措置に応じるものだ。市の支援策は、

  1. 事業税・職業(B&O)税の支払い猶予
  2. 小規模事業安定化基金(Small Business Stabilization Fund)の適用拡大
  3. 米国中小企業庁(U.S. Small Business Association)貸付への申し込み支援
  4. 公共料金支払い猶予
  5. 小規模事業者救済の緊急対策本部(Small Business Recovery Task Force)

の設置の5つの柱からなる。ダーカン市長は、「シアトルは、全事業者のうち95%を占める小規模事業者が経済を支えており、20万人近くの雇用を創出しています。市ではあらゆる対策を講じます」と述べた。

税金の支払い猶予については、課税対象となる事業所得が年間500万ドル以下で、年4回に分けて分納している事業者であれば、職業税の納付を2020年後半まで猶予される。小規模事業安定化基金には、シアトル市から総額150万ドルを拠出。急激な業績悪化で立ち退き等の危機に直面している飲食店や小売店舗などの零細企業を支援するのが目的だ。

  • 事業所得が一定以下(シアトル域内での事業所得中央値の8割以下)
  • 従業員数が5人以下
  • (オンラインではなく)実店舗で営業している
  • シアトル市内に拠点があり、コロナウイルスの影響で所得が減少

といった申請要件を満たした事業者に対し、最大1万ドルを助成する。助成を受けた事業者は、給与支払いや賃貸料など、日々の運営費を補填するために助成金を利用できる。条件に該当していれば、就労ビザなど米国在留資格は問われない。米国中小企業庁とも連携し、災害融資の適用も整備中だ。連邦政府で詳細が確定次第、技術的な面でサポートを開始する。

更に、ゲイリー・ロック元ワシントン州知事やブルース・ハレル前市議会議長といった地域の政界有力者が、小規模事業者救済の緊急対策本部のメンバーに任命された点も注目される。毎週、最新動向を発表し、シアトル市だけでなく、州および連邦政府レベルへの政策提言も行う。また、ワークショップ開催も視野に入れ、特に移民や難民の事業者らが米国中小企業庁の災害融資に申請できるよう、技術面から支援する。「シアトル市の迅速な取組は非常に素晴らしい。それでも、長きにわたって活況だったシアトル経済は、厳しい事態に直面しています。小規模事業者や労働者に対する支援策を考案しなくてはなりません」とロック元州知事は述べている。

シアトル市の小規模事業者支援の詳細はシアトル経済開発局へ問い合わせを。小規模事業安定化基金(Small Business Stabilization Fund)へは、シアトル市ウェブサイトからオンラインで申請できる:
https://www.seattle.gov/office-of-economic-development/small-business/small-business-programs-/stabilization-fund-

また、事業主による実態調査もシアトル市ウェブサイトで受け付けている。調査へ回答すると、支援策などに関する最新情報をEメールなどで受け取ることができる:
https://www.seattle.gov/office-of-economic-development/covid-19-business-and-worker-resources/economic-impact-survey

keiko schlegel
フリーランス翻訳家・通訳。外務省派遣員として、92年から95年まで在シアトル日本国総領事館に勤務。日本へ帰国後は、政党本部や米国大使館で外交政策の調査やスピーチ原稿の執筆を担当。キヤノン元社長の個人秘書、国連大学のプログラム・アシスタントなどを経て、フリーに転身。2014年からシアトルへ戻り、一人娘を育てながら、 ITや文芸、エンタメ系を始めとする幅広い分野の翻訳を手がける。主な共訳書は、金持ち父さんのアドバイザーシリーズ『資産はタックスフリーで作る』など。ワシントン州のほか、マサチューセッツ、ジョージア、ニューヨーク、インディアナ、フロリダに居住し、米国社会に精通。趣味はテニス、スキー、映画鑑賞、読書、料理。