ペリーに先駆けた偉人
ラナルド・マクドナルド生誕200年を祝う
ペリー来航(1953年)の5年前に日本へ上陸していたことで知られるラナルド・マクドナルド。「マクドナルド友の会」は8月23日、コロンビア川の北岸に位置するフォートバンクーバー国立史跡公園内のグラントハウスで、マクドナルドの生誕200年祝賀昼食会を開催した(以後、マクドナルド)。
マクドナルドは1824年、フォートジョージ(現オレゴン州アストリア)で、北米先住民チヌーク族の母とスコットランド人で英貿易会社勤務の父との間に生まれ、フォートバンクーバーで少年期を過ごす。ある時、ワシントン州西北端に漂着した日本人の話を伝え聞いたマクドナルドは日本に強く心惹かれるようになり、日本行きを決心する。成長した彼は、日本へ渡る手段として捕鯨船の船員となり、1848年、念願の北海道沖に到着する。それまでの働きに対する報酬と引き換えにボートを手に入れ、漂着を装って利尻島に上陸したのだ。
▲マクドナルド生誕200年祝賀昼食会にて。後方にマクドナルドの肖像、手前には今春発行された記念切手の図案が見える
その後、移送先の長崎では日本人のオランダ語通詞たちに英語を教え、日本初のネイティブ英語教師となる。教え子の一人である森山栄之助は、後に激動の幕末期の対外交渉において通訳として大役を担うまでになった。一年足らずの滞日だったものの、マクドナルドは日本の歴史に大きな功績を残した。
マクドナルドの命懸けの冒険と歴史的偉業に胸揺さぶられた人は少なくない。ノンフィクションや歴史小説に定評のある作家の吉村昭氏は、資料を駆使して『海の祭礼 (1986年)』を執筆。マクドナルドを世に広く紹介した。また、オレゴン州では1988年、出生地アストリアのクラトソップ郡歴史協会傘下に「マクドナルド友の会」が誕生した。以来、同会は彼の功績を広める活動を行い、利尻島の若者を対象とした短期訪米プログラムなどを続けている。
祝賀会では、ゲストとして吉岡雄三在ポートランド総領事を迎え、地元会員のほか、マクドナルドが上陸した利尻島や漂流日本人たちの出身地である愛知県からの参加もあった。生誕200年を迎えるにあたり、2019年には会員であるスティーブン・コール博士による『海の祭礼』の英訳版がクラトソップ郡歴史協会から出版された。さらに、日本では今春、かねてから要望のあったマクドナルド記念切手の発行も実現。マクドナルドの業績が、一人でも多くの人に認知されることを願っている。
(楠瀬明子/シアトル)
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