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パシフィック・ノースウエスト・バレエ「ジゼル」〜行ってきました

 

シアトル・シンフォニー「セレブレート・アジア」祝15周年!

取材・文:本田絢乃

恋の苦悩を描いた名作「ジゼル」が、2月3日から12日までパシフィック・ノースウエスト・バレエ(PNB)の本拠地、マリオン・オリバー・マコー・ホールで上演されました。

「白鳥の湖」、「ラ・シルフィード」と並び、ロマンチック・バレエの代表作として知られるジゼルは、数ある演目の中でも最高難度の演技力が必要とされる。PNBは2011年以降、ピーター・ボール芸術監督が再演出した改訂版を上演。筆者が鑑賞した2日目のマチネ公演では、昨年にPNB初の黒人プリンシパルとなったジョナサン・バチスタさんと、アンジェリカ・ジェネロ―サさんペアがそれぞれ、アルブレヒトとジゼルの主演デビューを飾った。

第一幕で幸せいっぱいに踊る主役のふたり©LindsayThomas

第一幕は、農村を舞台とした人間の世界。前半は、村娘ジゼルと農民アルブレヒトの初々しい恋模様を描く。後半では、実はアルブレヒトが公爵で婚約者もいることが暴かれ、心臓の弱いジゼルはショックのあまり息絶えてしまう……。

台詞がないバレエは、身ぶり手ぶりのマイム技術で出来事や感情を表現するが、物語を理解するうえで重要な要素となる場面は多い。特にジゼルの一幕は、演劇的なシーンが半分近くを占める。今回の公演では、劇中に登場するマイム17種類をイラストと共にパンフレットに掲載。これはとても良い配慮である。

第二幕でのパドドゥは全く印象が変わる©LindsayThomas

第二幕は、精霊たちがさまよう死の世界。無機質で神秘的な白のバレエがジゼルの眠る墓場で踊られる。エモーショナルな一幕から一転、空気のようにフワッと漂うジゼルのポワントの動きや、精霊ウィリによって踊り狂わされるアルブレヒトのアントルシャ・シス(空中で細かく脚を動かす技法)は見逃せない。

アンジェリカさんが、精霊になってもどこか強い意志を感じさせるジゼルを演じたのが印象的だった。これはバレエ団独自の演出なのか、個人の表現によるものなのか、ぜひともほかのキャストの演技も観て確認したい。

精霊ウィリは結婚前に亡くなった若い娘たちこのウィリの群舞も見どころのひとつだ©AngelaSterling