シルク·ドゥ·ソレイユ「コルテオ」
取材・文:本田絢乃
カナダ発祥のエンターテインメント集団、シルク·ドゥ·ソレイユ(以下シルク)が約1年ぶりにカムバック! 人気の演目「コルテオ」で、シアトルでは初となるアリーナ公演を果たしました。
3月2日から5日まで、シアトル·センターに位置するクライメート·プレッジ·アリーナで上演された「コルテオ」。2005年の初演以降、世界4大陸20カ国で1,000万人以上の観客を魅了してきた演目だ。
これまでのシアトル公演は、レドモンドのメリモア公園に設置された「ビッグ·トップ」と呼ばれる移動型テントで行われてきたが、今回は初のアリーナ公演。360度の円形ステージが特徴的で、バンド·ピットが客席と同エリアにあり、臨場感も抜群。ひとたび幕が上がると、反対側の客席まで見通せ、壮大さを味わえる。
シアトルで初披露となるコルテオは、イタリア語で 「葬列」を意味し、生と死の祭典をテーマに、ピエロが自分の葬列を夢見るという想像の世界が描かれる。全6公演のうち、筆者は初日のプレミア·ナイトを鑑賞。昨年の「アレグリア」と比べるとアクロバティック度がやや控えめな分、全体の芸術性とストーリーの完成度の高さに目が行く。ピエロの人生を、16の場面ごとにアクロバットや演技を通して次から次へと展開させ、勢いと興奮を生み出している。観客を最初から最後まで飽きさせない演出が光る。
葬列と聞いてシリアスなテーマかと思いきや、シルクらしいユーモアいっぱいの舞台は健在。新しいステージで大いに楽しませてくれた。