特別レポート
〜77回目の原爆の日に寄せて〜
今年も広島は8月6日、長崎は9日に原爆の日を迎えました。8月7日、シアトル別院仏教会では原爆犠牲者追悼法要が営まれ、戦争と平和について改めて考える機会となりました。
取材・文:本田絢乃
1975 年にシアトル広島県人会(以下、県人会)とシアトル別院仏教会(以下、別院)の共催で始まった原爆犠牲者追悼法要。以降、生存者とその家族、または犠牲者の子孫、友人らが集まり、追悼が続けられている。1945 年の広島と長崎への原爆投下で亡くなった犠牲者には県人会会員の親族 28名が含まれる。名前が記載されたパンフレットを見つめながら、途絶えてしまった尊い命を思い、静かに黙とうした。
セレモニーでは、被爆者が原爆投下直後の様子を語るインタビュー映像も流された。爆心地から2マイル離れた防空壕の中にいたジーン・マサノリ・フジタさん(当時17歳)は次のように話す。
「母と毎日、広島の街を歩いて父を探しました。でも見つけられなかった。動いている多くの半焼け状態の人間を見て、とても恐ろしくなりました。(中略)子供を背負って通りを歩く母親の姿もたくさん見ました。でもあまりの熱さに子供が焼けて、母親の背中に張り付いているのです。それを見るのはとても悲しかった」
県人会のウェブサイトでは、8 名の生存者をインタビューした動画が公開され、原爆と戦争のむごさを伝えている。戦争を体験していない私たちでも、経験者の生の声を聞くことで悲惨さに思いをめぐらすことができるのだ。近い将来、核兵器のない世界が実現することを切に願う。
シアトル広島県人会ウェブサイト: https://seahiro.org
シアトル別院仏教会
1427 S Main St., Seattle, WA 98144
開館時間:月~金9:30am~3pm
☎️206-329-0800