10年前からアーミッシュ文化について調べている筆者が、2度にわたってペンシルヴァニア州、オハイオ州のアーミッシュ・コミュニティーで暮らした体験を紹介。
寄稿・写真 吉田麻葉
アーミッシュの文化はベールに包まれているためか、彼らに対する誤解も多いのが事実。今回は、よくある誤解をまとめてみました。
アーミッシュは近代文明を拒否している
彼らは文明を拒否しているのではなく、文明の利器をあまり利用しないように努めているだけ。私が滞在した保守的なグループであるオールドオーダーアーミッシュの家庭では、アイロンやミシン、パンをこねる機械や冷蔵庫がありました。電力会社からの電気の供給こそ受けていないものの、電化製品の恩恵は確実に受けています。彼らが制限しているのはテレビやパソコン、カメラ、電子レンジ、電話など特定の家電のみなのです。
アーミッシュは自給自足の生活
確かに、洋服は手作りで、畑で穫れた野菜を食べますし、家畜から卵やミルクを得ます。都会に住む現代人と比較すると自給自足に近い生活を送っていますが、実際には買い物をせずには生活が回りません。子ども用のオムツやおもちゃ、シャンプーや石鹸、洗剤などなど、生活用品はスーパーで買います。
アーミッシュは病気にならない
オーガニック食品を食べ、化学薬品や添加物などに触れる機会がないため病人がいないという説もあります。しかしアーミッシュも人間、当然病気にかかります。アレルギーや癌の発症率は一般よりも低いようですが、私の滞在した家庭のお父さんとお母さんは糖尿病を患っていました。アーミッシュのコミュニティに滞在して、街の食堂やアーミッシュの家庭で何度も食事をしました。日本人の私からすると味の濃いものが多く、成人病のリスクが高いのは、一般のアメリカ人と同様のように思います。
アーミッシュは本を読んではいけない
音楽を聞いたりマンガを読んだり映画を観ることはしませんが、本は読みます。私の友人のアーミッシュの女の子は大の読書家。月に何回かは図書館に行きますし、本屋を訪れることが趣味。日本の文化や料理についても本で読んで学んだと言っていました。海外旅行はしないけれど、本で海外の情報も多く得ているようでした。
[麻葉アーミッシュの世界]