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〜ボーイング、全日本空輸 第50機B787 受領記念式典〜

全日本空輸(ANA)は8月16日、1社の発注数として世界で初めてとなる50機目のB787型機をボーイング社より受領した。8月17日、日本へのデリバリーフライトを前にボーイングのエバレット・デリバリーセンターにおいて記念式典が開かれた。

取材・文・写真:崔 崇弘

▲ 記念ロゴが描かれたANAの50機目となるB787-(JA882A)
▲ 記念ロゴが描かれたANAの50機目となるB787 JA882A

 

ANAとボーイングの二人三脚

▲ ボーイングのパイロットから受領の証として「キー」がANAのパイロットへ渡された。
▲ ボーイングのパイロットから受領の証としてキーがANAのパイロットへ渡された

式典ではANAの功刀秀記氏(くぬぎひでき 米州室長・ニューヨーク支店長)とボーイングのイセイン・ムニール氏(Ihssane Mounir ボーイング旅客機部門北東アジア販売上席)がスピーチを行った。ANAとボーイングの関係は50年に及び、B747やB767、B777を始めとする多くのボーイング機を運航させており、現在ANAが保有する機材の87%はボーイング製だ。
2004年、ANAはローンチカスタマーとしてボーイングのB7E7(当時のB787の仮称)プロジェクトに参画。ANAとボーイングによる「ワーキングトゥギャザー」によってエアラインの知識や経験を開発段階から組み込み、互いの強みを生かすことができるビジネスモデルを確立させた。エアラインが航空機の開発段階から関わる初の試みは、両社のニーズをうまく絡ませる点で非常に画期的なことであった。2年半に渡ってANAは月に2回、技術者をシアトルのボーイングに派遣し、密に連携を取りながら積極的にプロジェクトの中核を担ったという。

経済性、快適性に優れたB787の魅力

▲ 座面が5cm低くなり、乗り心地が良くなったエコノミークラスのシート
▲ 座面が5cm低くなり乗り心地が良くなったエコノミークラスのシート

B787は同型のB767と比較すると、燃費が20%向上したことで年間約100億円のコストカットを実現させている。また航空機の寿命が延び、整備におけるチェックポイントが従来機より30%減ったことで維持費の削減にもつながっている。B787はエアラインだけでなく搭乗者にも魅力的な航空機だ。静音性に優れ、乾燥しづらいキャビンの気圧、従来機より約30%大きくなった窓、収納スペースの容量増、ウォシュレットの採用など、快適な機内環境を提供してくれる。
今回ANAが受領したB787-9(JA882A)はビジネス、プレミアムエコノミー、エコノミーの中距離国際線仕様で、エコノミークラスのシートは従来機より座面が5cm低くなったことで座り心地がより改善された。この機材はアジア路線を中心に運航する。

夢を運ぶ飛行機

2011年に初号機を受領して以降ANAは、短距離国内線から長距離国際線に至るまでB787の活躍の場を増やしており、今や、日本と世界41都市を結ぶ国際線の約40%はB787による運航だ。「B787無しにシアトル線、サンノゼ線の実現はなかった」と功刀氏が話すように、航続距離や燃費の向上で経済性に優れるB787はANAのネットワーク拡大戦略の重要な鍵となっている。
今秋からは新たに成田-プノンペンと成田-メキシコシティへB787による新規就航を開始する。メキシコシティはB787の航続性能によって実現可能となった路線だ。高所に位置し気象条件の厳しいメキシコシティは、離陸時にエンジンの推進力が低下するため従来の航空機で日本への直行便を運航させるのは困難だったが、ANAのB787に搭載された高性能エンジンと優れた航続性能によって、その壁の克服に成功した。
ANAにとって初の中米路線となるメキシコシティへの就航は、TPPの締結により、さらに交流や物流の増加が見込まれる両国の大きな架け橋となるだろう。「将来的な南米へのネットワーク拡大の第一歩でもある」と功刀氏は、同路線への期待を示した。

世界最大のB787カスタマーとして

今年5月にANAは初号機の受領から4年7カ月をかけて標準型のB787-8を受領し終えた。現在、全世界で導入されているB787のうちANAのシェアは11%を占めている。長胴型のB787-9と超長胴型のB787-10 を含む33 機のB787、現在開発中の最新機B777-9も20機発注済みで、両社の関係はさらに深まることだろう。
功刀氏は「これからも安全を最優先にボーイングとのワーキングトゥギャザーを続けていきたい」と締めくくった。

▶︎ 羽田空港へ向けてペインフィールド空港を離陸するANAの50機目のB787
▶︎ 羽田空港へ向けてペインフィールド空港を離陸するANAの50機目のB787