パシフィック・ノースウエスト・バレエ
「白鳥の湖」
取材・文:本田絢乃
上演のたびに大きな話題を呼ぶパシフィック・ノースウエスト・バレエ(以下 PNB)の人気演目、白鳥の湖が 2月 2日から 11日まで、マリオン・オリバー・マコー・ホールで披露されました。
▲2月4日に主演を務めたプリンシパルの両名、オデット/オディール役のレタ・ビアスッチさん、ジークフリード王子役のリュシアン・ポストルウェイトさん
昨シーズンはラインナップに入らず、2022年以来2年ぶり。PNBでは、プティパ=イワーノフ版を元に前芸術監督のケント・ストウェル氏が再振付を手がけ、上演されている。チャイコフスキー作曲のバレエ音楽に合わせて全4幕、約3時間と長丁場ながら、1981年のPNB初演以来、長年愛されている作品だ。
筆者が鑑賞したのは3日目のマチネ。オデット/オディール役は、プリンシパルのレタ・ビアスッチさんだ。実は2年前の公演の同役でデビューしている。当時と比べ、格段に繊細な表現力が増した白鳥オデットは特に美しかった。
◀︎ ダンサーの肌の色に合わせたオーダーメイドのポワントはフリード社のもの。PNBでは1年で2,000足以上を消費する。ポワント1足分に当たる120ドルから寄付を募っている(https://order.pnb.org/donate/i/pointe-shoe)
昨年11月にコールド・バレエからソリストへ昇格した若手の注目株、櫻木 空さんも3幕のナポリの踊りで登場。彼の持ち味である伸びやかなジャンプと軽やかなステップで、舞台に華を添えた。
PNBには、女性役と男性役の両方を演じられるノンバイナリー・バレエ・ダンサーがいることをご存じだろうか。本公演でも、アシュトン・エドワーズさんとジラス・マイケル・ヒューズさんが、白鳥のアンサンブルで他の女性ダンサーと共にポワントを履いて躍っていた。古典バレエにおいて、ジェンダーに左右されない配役が容易でないことは想像に難くない。しかし、PNBはスタッフ、ダンサーが一丸となり新たな道を切り開こうとしている。
今シーズンの公演はまだ始まったばかり。ぜひ会場へ足を運び、素晴らしいダンサーたちの踊りを目にしてほしい。
▲多様性あふれるPNBのダンサーたち。白鳥の群舞より
www.pnb.org