取材・文:河野 光
シアトルの老舗ジャズ・クラブとして知られる、ディミトリアス・ジャズ・アレー。新型コロナウイルス感染対策を強化し、6月10日に待望の再開を果たしました。2019年夏以来となるジャズ・ピアニスト、松居慶子さんのライブも8月26日から29日に行われ、オープニング・ナイトにソイソース編集部が駆け付けました!
※掲載の内容は2021年8月26日時点の情報です。
ディミトリアス・ジャズ・アレーは、こだわりの料理やドリンクを楽しみながらライブ鑑賞ができる人気のスポット。この日の公演は午後7時半からだったが、1時間半前の開場に合わせて到着すると、すでに入場を待つ大勢の客の列ができていた。入り口では新型コロナワクチン接種の証明書またはその写真、あるいは72時間以内の陰性証明の提示が必要。それを会場スタッフがテキパキと確認していく。レセプションで名前を告げてレシートを受け取ると、クルーに席まで案内してもらえる。
気取らない箱も良いけれど、やっぱりジャズ・クラブは格別! たまにはおしゃれをして、ご褒美感を満喫したい。普段はカジュアルなシアトライトも、ワンピースにヒール、スーツジャケットにスラックスと、ドレスアップしているのが微笑ましい。ブース席は感染対策として分厚いアクリル板で仕切られ、トイレもハンズフリーの蛇口に変更されていた。半地下の会場は空気がこもらないよう、換気と空気清浄を毎分行っている。
2019年にリリースしたアルバム「Echo」を前日から予習している筆者は準備万端! ステージ真横の席に着き、カクテルを注文して松居さんの登場を待つ。やがて明るい笑顔で舞台に現れた松居さんに、客席から「会いたかった!」と大歓声が上がった。松居さんの楽曲はどれも、楽器の持ち味を理解し、それぞれの聴かせ方を心得ていると感じる。スピード感あふれる「アンシェイカブル」を皮切りに、ラテン調で思わず踊りたくなる「ビバ・ライフ」、2001年同名アルバムからの名曲「ディープ・ブルー」まで、どの曲も力強いピアノの音が全体を優しくまとめている。松居さんの作り出す音のハーモニーが素晴らしい。
ゲスト出演したシアトル育ちのサクソフォニスト、ジェフ・カシワさんの誕生日をステージで祝うサプライズも。ミュージシャンと観客が音楽を通して一体感を得られるのがライブの醍醐味。それを改めて痛感した夜となった。
Dimitriou’s Jazz Alley
2033 6th Ave., Seattle, WA 98121
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