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コオロギせんべい ~みきこのシリメツ、ハタメーワク

みきこのシリメツ、ハタメーワク

コロナ禍、緊急事態宣言が出されて暇つぶしに、パソコンでなにやら検索していたら「コオロギせんべい」というのに出くわした。コオロギを粉にしてせんべいにしたものらしい。

「なになに? エビセンみたいな味?」

ということで販売元の無印良品にオーダーしてみた。昨年5月に試作品として数量限定でネットに出したらその日のうちに完売。7月から正式に売り始めたそうだ。

食用コオロギで見てみると、コオロギバゲットやフィナンシェ(柔らかいクッキーのようなもの)で1枚に10匹入りと30匹入りがある。日本橋馬喰町の昆虫食専門レストランでは「コオロギラーメン、110匹入り」なども出ている。なんで今、コオロギなの?

昔、イナゴの佃煮なんてあったなぁ。最近また話題になり、どこかのおばあさんが、孫が送ってくれたイナゴの甘露煮をとってもおいしく食べ、大層感激したという話も聞いた。

そもそも将来の食糧危機を懸念して、世界中で昆虫食からたんぱく質を摂取しようという動きがあるのだ。フィンランドでは3、4年前からパンを売り出しているし、国際連合では2013年ごろから、昆虫食を奨励している。ただし国連のサンプル調理は、丸のままのバッタの形で料理したもの。いくら回りにトマトなどで色合い良くよそってみても、食欲が湧かない。

それで徳島大学では沖縄、奄美大島産のコオロギを粉末状にして研究をしていた。食品化するのに製造元も見つけにくかったしいろいろ苦労があったようだが、ようやくコオロギせんべいが誕生した。

「そんなにコオロギを捕まえて、全滅しないの?」などという幼稚な考えがまず頭に浮かんだが、もちろん養殖できる。大丈夫。コオロギのメスは成虫になるのに50日、1年間に6回ほど産卵する。1回に約1,000匹。だから理想的な環境で養殖すると、なぜかはわからないが1年間に250兆匹以上になるという計算。

先述のラーメンを提供する店、昆虫食の魅力を探究するチーム「ANTCICADA」ではコオロギを発酵させ、「コオロギ醤油」、「コオロギビール」なども開発し、「夢は宇宙進出!」とやら。

2020年世界の人口は78億を超え、2050年には100億人になると言う。地球上の3人に1人が何らかの栄養不良に苦しんでいる現在、昆虫食に目を向けたことは当然なのかもしれない。

というわけで、コオロギせんべいの到着を心待ちにしている。

天海 幹子
東京都出身。2000年から2005年まで姉妹紙『北米報知』ゼネラル・マネジャー兼編集長。「静かな戦士たち」、「太平洋(うみ)を渡って」などの連載を執筆。2020年11月に日本に帰国。同年、著書『ゼッケン67番のGちゃん』を刊行。