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安心・安全?〜みきこのシリメツ、ハタメーワク

日本に帰国してびっくりしてしまうのは、政治家、役職の責任者などが「最善を尽くします」と言っていることだ。何か失敗をしても、「再発しないように最善を尽くします」と謝って、おしまい。なんか、口先だけの感じがする。やっと交代してもらった前総理大臣のモットーは、「安心・安全」だったし。一体誰のレベルで言ってるのかと思ってしまう。私の「最善」と違って政治家の「最善」は当たり前だし、それを平気で言って逃れるのも、言い訳にしか聞こえない。「自分はできる限り一生懸命したんだから、許してくれ」というか、「それ以上できないんだから、しょうがねぇだろ」という開き直りにも取れる。昨夏の参議院選にしても現総理は、「平和な日本、豊かな暮らし、人に優しい社会を作る責任がある」とテレビで宣伝していた。誰だって望む、聞きたいフレーズ。では、どうやって実現するの?

こんなあいまいな言い方が日本のやり方だったんだ、と40年以上も日本に住んでいないと驚く浦島花子さん。アメリカでは、誰にとってもわかる数字で表したりするもんだ。

もう何十年前の話を思い出してしまった。日本に来た時にアメリカへ荷物を送ろうと、郵便局本局へ行った時のこと。どのくらいのサイズでいくらとか、そんなことを表示してあるパンフレットとかないのかしらと思って聞いてみた。

「身長+胴回り」
とひと言。フーン、胴回りねー。おじさんの胴回りではないだろうし、荷物を持って来た私の?と思い、
「誰の胴回りですか?」
と聞いてみたら、
「荷物の箱のだよ。いちばん長いのが、身長。箱をぐるっと回るのが胴回り!」
と、あきれられてしまった。縦、横、高さとか言えないのかしらね。

微笑ましいのもある。苦肉の策、というか。娘が飛行機で東京から沖縄に帰る時、何気なく見たバッグの中にお茶の入ったペットボトルが見えた。
「これ、手荷物検査の前に全部飲まなきゃいけないんじゃないの? 飲める?」
と聞くと、
「日本は違うんだよ。持ってていいの。ただ、『はい、ふたを開けてひと口飲んでください』って言われるから、飲もうと口をつけると、『はい、そこまでで結構です』って飲まなくてもいいの」
とのこと。化学薬品とかだったら、飲めないからね。でも、逆に飲んで目の前で倒れてしまったら、もっと困るんじゃないのかしら?

天海 幹子
東京都出身。2000年から2005年まで姉妹紙『北米報知』ゼネラル・マネジャー兼編集長。「静かな戦士たち」、「太平洋(うみ)を渡って」などの連載を執筆。2020年11月に日本に帰国。同年、著書『ゼッケン67番のGちゃん』を刊行。