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植民地、沖縄〜みきこのシリメツ、ハタメーワク

暮れから正月にかけて沖縄に行ってきた。

沖縄は新型コロナ感染者の数が驚異的に増え、1月8日に1,759人と報告された。その日、東京では1,224人。去年暮れからPCR検査を無料にしたせいで、日本中、陽性と報告された人数が当然のごとく多くなっている。だから前週とは比べ物にならない。アメリカのように無料で検査ができるようにと政府や東京都に1年前から訴えてきた私には、後手後手にしか思えない。それまでの数がうそっぱちで、この数が実際に近い数なのだから、今さら驚き、恐怖に陥っても仕方がない。幸いオミクロン株で比較的重症には至らないようで、死者数も圧倒的に少ない(政府の発表も信用していないが)。そのうち風邪のようにどんどん広がって、10年後には大した話題にならなくなるのかもしれない。これが新型コロナウイルスの最期のあがきになってくれれば良いと思っている。

なぜいきなり沖縄で感染者が急激に増えたのか? 沖縄人は家族などが集まって飲み食いするのが好きなんだよ! と言う人もいる。でも、暖かいから野外でしょ? いつもそうなのになぜ急に?

答えは米軍基地からだと私は思っている。防衛白書によると、2021年3月31日時点で沖縄の基地は日本全国77カ所のうち、31カ所。常時利用面積比で言うと70.3%を占めている。そこに来る米兵たちは12月26日まで米出国時にPCR検査もせず(後々わかった)、ノーマスクで基地内の売店や食堂を出入りしていた。基地内で働く日本人の初のオミクロン感染者は娘の住む、うるま市民。付近にはキャンプ・ハンセンがあり、その付近で通訳をする娘婿いわく、休日にすることもない独身の若者兵士はノーマスクでタトゥー・パーラーに現れる。クラブももちろんオープンで「マスク会食」などは夢の中の話でしかない。

なんか規制はできないの? と思っても、日米地位協定でご法度。米軍基地とのつながりを強調しているニュースは、ネットでいつの間にか削除されている。岸田内閣も一時、米軍に「お願い」を出したがそこ止まり。1月9日、ようやく基地側が外出禁止令に合意した。それでも基地内で働く人への感染は防げない。だって、みんな基地内ではノーマスクだもの。

沖縄はGo To トラベルで一時感染者が増え、最大限の努力で感染者ゼロを記録した直後のこと。米軍による沖縄の被害、サンゴ礁の問題、米軍基地での埋め立て用に日本唯一の地上戦の場となった「ひめゆりの塔」付近、まだ遺骨も発見されていない中での掘り起こしと土砂採取を行う計画、それに反対している市民の声など、本土には伝わってこない話が多い。アメリカも日本政府も、沖縄はアメリカの植民地くらいにしか思っていないと感じるのは、私だけだろうか?

天海 幹子
東京都出身。2000年から2005年まで姉妹紙『北米報知』ゼネラル・マネジャー兼編集長。「静かな戦士たち」、「太平洋(うみ)を渡って」などの連載を執筆。2020年11月に日本に帰国。同年、著書『ゼッケン67番のGちゃん』を刊行。