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Beetlejuice Beetlejuice /邦題『ビートルジュース ビートルジュース』〜注目の最新ムービー

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マイケル・キートン、当たり役で大活躍


Beetlejuice Beetlejuice
(邦題『ビートルジュース ビートルジュース』)

 

 

1988年に大ヒットしたティム・バートン監督のホラー・コメディ『Beetlejuice』が、なんと36年ぶりに続編として戻ってきた! オリジナルキャストがほぼ全員再集結し、年月を反映した設定になっているものの、主人公のビートルジュース(マイケル・キートン)だけは進化なし。36年前のまま「不適切にもほどがある」活躍を見せている。監督はもちろん、バートンだ。

オリジナルは、そうと知らずに幽霊屋敷に住むことになったディーツ一家が、人間界の誰かと結婚したい幽霊ビートルジュースの登場で、ひっかき回される話。両親に反抗的な一人娘、ゴス系女子のリディア(ウィノナ・ライダー)が、ビートルジュースと結婚する羽目に陥るが、紆余曲折を経て彼を霊界に追い返してメデタシメデタシとなる。

続編では、リディアは幽霊を信じない反抗的な16歳の娘アストリッド(ジェナ・オルテガ)を育てつつ、サイキックTV番組の司会をしている。彼女の夫は亡くなり、今は番組制作者のロリー(ジャスティン・セロー)と婚約中だ。

リディアの継母デリア(キャサリン・オハラ)は今でもアート三昧。ソーホーのギャラリーでアートショーのホステスをしているが、夫チャールズが事故死する。一家は夫・父の埋葬のために再び幽霊屋敷に戻るのだが、アストリッドが霊界に誘拐されてしまう。慌てたリディアは屋敷の屋根裏にある模型に住むビートルジュースを仕方なく呼び出し、助けを求めるのだった。

物語はここから一気に加速。待ってましたとばかりにビートルジュースが霊界と人間界を行き来し暴れ回っていく。続編につきものの新キャラとして、ビートルジュースの元妻(モニカ・ベルッチ)や霊界の刑事(ウィレム・デフォー)なども登場するが、さほど面白味はなく、見どころはやはりキートン。彼の当たり役であり、本人も一番好きな役柄と公言するビートルジュースをイキイキと演じ、36年の歳月を感じさせない圧倒的な存在感を放っている。

バートン監督は今回もAIによるCGを極力避け、低予算で手作り感のあるオリジナルの映像スタイルを継承。ホラーでありながら、どこかホッとする映像で、これは大成功と言える。

ただ、反抗的なティーンの娘とそれに悩む母の対立を描く前半の展開は新鮮味が感じられなかった。オリジナルのアーティストで娘に関心のない継母と大人の裏を見透すゴスの娘という関係性の方が絶妙で、また、金と投資に執着する父という設定も88年当時の時代性を感じさせてくれた。

続編制作は何度も試みられてきたが、Netflixの『ストレンジャー・シングス 未知の世界』でライダーが再注目されたことが追い風となって、本格的に続編制作が動き出したようだ。続編はつまらないという定説があるが、オリジナルのファンがガックリするほどではなく、キートンの大活躍は見る価値がある。ただし、本作で新しいファン層を取り込めるかはまだ未知数だ。

Beetlejuice Beetlejuice/
(邦題『ビートルジュース ビートルジュース』)

写真クレジット:Warner Bros. Pictures上映時間:1時間44分シアトル周辺ではシネコンなどで、標準、IMAX、4DX等にて上映中。

土井 ゆみ
映画ライター。2013年にハワイに移住。映画館が2つしかない田舎暮らしなので、映画はオンライン視聴が多く、ありがたいような、寂しいような心境。写生グループに参加し、うねる波や大きな空と雲、雄大な山をスケッチする日々にハワイの醍醐味を味わっている。